山行報告>北海道の山2010(5)大雪・十勝縦走 3日目

2010/8/4

 
【日 程】平成22年8月4日
【山 名】五色岳、化雲岳、トムラウシ山
【標 高】五色岳1,868m、化雲岳1,954.4m、トムラウシ山2,141.2m
【天 候】曇り一時雨
【メンバー 】福福
【地 図】※デジタル地図の該当部分を切り出したもの
【タイム】
 忠別岳避難小屋6:09−−−7:10五色岳7:24−−−8:36化雲岳8:52−−−9:24ひさご沼第二分岐9:28−−−10:00天沼10:15−−−11:40北沼分岐12:01−−−12:33トムラウシ山12:54−−−13:20南沼キャンプ地
       


前日の天気予報ではあまり良いことを言ってなかったが、その予報通りのどんよりとした今にも降り出しそうな朝だった。いつ降られても良いようにカッパを着て、小屋泊のメンバーの中では最初に出発する。

朝一番の登りが急登でないのは助かる。避難小屋からちょうど一時間で五色岳に到着した。単独男性が二番手で上がってきて、昨日は今日の行き先を決めかねていたようだったが、どうも沼ノ原に下山する雰囲気だ。五色岳でしばらく休憩後に化雲岳に向かうと、早くもヒサゴ沼方面からの登山者がやってくる。広大な山域で時たま出会う登山者は情報を得る為にも貴重だが、一言二言言葉を交わすだけでも何となく嬉しいものだ。

五色岳もこれから向かう化雲岳も、昨日登った忠別岳同様に山の半分が切り取られたような崖になっている。自分たちが歩いている平地のような平坦な場所の隣には切れ落ちた崖という全く違う山の顔がある。こういう地形を上空から眺めてみると面白いだろうなぁと考えている内に雨になった。

お花畑や池塘の向こうにこれから向かうトムラウシ山が見える。木道も整備されているので、遊歩道を歩いているような雰囲気があって、晴れていればもっと気持ち良く歩けるのにと思う。化雲岳に向かうコースとショートカットコースとの分岐があるので、ここは迷わず化雲岳に向かう。化雲岳山頂では岩陰で風を避けながらパン等を食べて休憩。雨の方は大降りではないが止む気配がない。

化雲岳を下りきったところにヒサゴ沼への分岐標識がありそこからまた少し登りになる。岩の点在する庭園風の場所でなかなか良い。もう一箇所のヒサゴ沼分岐ではやはりこれからトムラウシに向かおうという二人連れがいた。挨拶をして先に進むと左手にヒサゴ沼の全貌と池畔に立つ避難小屋の建物が見えて来た。テントも二張り有る。この避難小屋は人気があるそうだから昨日も込んだのかもしれない。

次の休憩は木道の整備された天沼でとった。周囲を低い山に囲まれた天沼はイワイチョウの白い花が目立つ静かな池だ。雨が止んでくれたのでうっとうしいカッパを脱いで身軽になった。天沼から先は巨岩の間を縫うように登っていく。岩の間にあるハイマツやチングルマが綺麗だ。

再び平坦な地形(日本庭園)に出た所で前を行っていた5人パーティが帰ってきた。ゼミの学生とその指導教官らしい一団で、「学生に風邪気味の子がいてね、無理をせずにここから引き返しますよ」。教官とおぼしき60代の男性はそう言って、一団をリードして来た道を帰っていった。昨年のトムラウシ遭難の一行はこの場所を強風にあえぎながら登っていった。もしリーダーにこの教授程の慎重な配慮があれば、悲惨な事故は起きなかっただろうにと、考えても仕方のないことだが今のやりとりでついそんな思いが頭をよぎった。

その先はロックガーデンで積み重なった岩の頭を踏みながら登っていく。ペイントでマーカーが付けてあるので、迷うことはないがしばらくはこの岩場の地形が続く。そこを登りきるとまた平坦に地形に戻って、ゆったりした登りになる。前方から親子連れがやってきたので挨拶を交わすと、南沼にテントを張ってこれからヒサゴ沼まで遊びに行くのだと前を歩いていた母親の方が答えてくれた。荷物持ちの息子の方はニコニコと側で見守っている。それなりの年齢とお見受けしたが元気いっぱいのご婦人だった。

緩い坂を登り詰めると目の前に雪渓を残した北沼があった。ゆっくり下って池畔の分岐標識の所でトムラウシへの最後の登りに備えて一休みした。パンや菓子を出して食べていると、忠別岳避難小屋で一緒だった日本人一人が入った外人グループが追い越していった。一人足りないぞと見ていたが、遅れているメンバーを待つ様子もなく行ってしまう。「この人達、休まないんですよ」と日本人男性が苦笑いしていたが、それより残りの一人は大丈夫かね。

分岐からトムラウシ山頂までは標高差で150m程、北斜面をトラバース気味に登って約30分で山頂に到着した。トムラウシ温泉から登ってきた若者にカメラのシャッターを押して貰う。例の休まないパーティの遅れていた一人も到着したが、仲間が待っていないことに意外そうな顔もせず、すたすたと下りていった。十分休息をとってから若者と別れて我々も南沼のキャンプ地に下る。南沼には例のパーティがまだいた。どうもここで大休止だったらしい。

しばらくすると5人揃って仲良く出発していったので、彼等のたむろしてた場所に我々のテントを張る。水場が近くてまずまずの場所だ。ベストな場所はヒサゴ沼へ遊びに行った親子のものらしいテントが張ってある場所で、この場所には詳しいようだ。忠別岳避難小屋で会った夫婦連れもここでテントを張っていた。途中で抜かれていないのにどうして先にテントを張ってるのだろうと不思議に思ったが、北沼分岐からトムラウシには登らずに直接南沼キャンプ地にやってきたのだ。彼等は空身でここからトムラウシを往復していた。

夕食の準備をしている頃にこれも忠別岳避難小屋で一緒だった外国人と日本人の男女ペアがやって来て、この場所には泊まらず三川台を目指して出発していった。気をつけてと見送ったが、こんな遅い時間に大丈夫だろうか。さらに遅い時間になって親子連れが帰ってきた。「ご心配掛けました」と言いながらやっぱりニコニコしていた。

時折パラパラと来るが本降りにはならずに済んでいる。我々の明日の行程は10時間近くのコースタイムになっている。好天を願ってこの日も早めに就寝した。/福西

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オンライン地図(山旅倶楽部)の2万5千全国地図とカシミールを使用していますが、画像を縮小している為、縮尺は正確ではありません
地図上で登山ルートを赤色の実線で表示しています。歩いたコースが往復で異なる場合や行動が複数日に
渡る場合は、色を変えている場合があります(例:登りを赤色、下りを紫色。一日目を赤色、二日目を紫色)