山行報告>北海道の山2010(8)大雪・十勝縦走 6日目

2010/8/7

 
【日 程】平成22年8月7日
【山 名】上富良野岳
【標 高】1,893m
【天 候】曇り、強風
【メンバー 】福福
【地 図】※デジタル地図の該当部分を切り出したもの
【タイム】
 上ホロ避難小屋6:15−−−6:48上富良野分岐6:50−−−8:47十勝岳温泉
       


前日、我々が上ホロ避難小屋に到着した時には、既に3人の男性パーティが中にいた。彼等は1階の入口近くに場所を占めていたので、我々は彼等から少し離れた場所に寝場所を定めた。荷物の整理をしながら彼等と色々話しをしている内に、その中の一人が「私は山登りが目当てではなくて、仕事で来てるんです」と言ってDocomoの社員だと名乗った。どんな仕事かというと、縦走路の要所要所で携帯電話の受信状況を調べるのが目的だそうだ。自社の携帯電話だけでなくauやsoftbankの携帯も持ち歩いて同時に調べているらしい。

山には縁がないのに「いきなり会社で行ってこいと言われちゃって」と苦笑いしているので、「Docomo内で希望者を募ればいくらでも行きたい人はいたでしょうに」と返してはみたが、仕事と趣味では全然意味合いが違う。山が趣味でない方がかえって仕事に集中できるのかもしれないと思い直した。後の二人はその人をサポートするプロの山岳ガイドのようだ。これだけ手厚い態勢で臨んでいるのは、Docomoが本腰を入れて調査している証と思える。

我々の後からは北見H高校の山岳部のメンバー達がやって来た。男女合わせて6名の部員に顧問の教師が2名付き添っていて、計画では富良野岳に登ってから来る予定を、不調者がいるので十勝岳温泉から真っ直ぐ来たと言っていた。風が強くテントが張れないので小屋泊まりにしたようだ。部長らしき女学生が1年生部員のスパッツを脱がせてやっているのが印象的だった。彼等は全員2階に上がった。

これがこの日の小屋泊まりメンバーの全員で、小屋には余裕があった。他の2パーティと違い我々は明日は温泉に下山するだけ。この5日間で食糧も順調に減ってザックの重量も軽くなった。わずかに残ったアルコールを二人で飲み干して、この日も8時頃には眠りについた。

翌朝も風は収まっていなかった。ガスの状態も変わらずで縦走の最後は快適にという希望は叶わなかった。5時過ぎにDocomoのパーティが出発していった。今日の予定は双子池までらしいが、「状況を見て美瑛小屋までとすることもあります」と出発前にメインガイドの男性がメンバーに申し渡していた。前日はどこのポイントで調査するか綿密に打ち合わせをしていたが、こんな天候の中で調査しなければならないとはやはり仕事となると大変だ。

北見H高校のパーティと我々は同時に小屋を後にした。この天候に顧問の先生も迷っていたので、小屋での停滞を勧めたのだがやはり美瑛富士避難小屋まで行くようだ。無事に小屋まで到着して欲しいが、十勝岳山頂で行くか戻るかの判断を迫られることになるだろう。

我々の行くコースは稜線ルートではなく水場への道から目の前の尾根を越えていく迂回ルートだ。プロガイドの人からアドバイスを貰ってこの道に決めた。このルートだと上ホロカメットク山の山頂を踏むことは出来ないが、山陰になるので風の影響は受けにくい。とは言っても決して弱いと表現するような風ではなかったが、迂回ルートを終えて稜線にある上富良野分岐に出たとたん、強烈な風の洗礼を受けた。

カミさんは標柱にしがみついてる。稜線コースを来なくて良かったと心底思った。稜線を越えて急な道を風に逆らって慎重に下る。しかし、そうして下る内に急激に風の力が弱まって来た。十勝岳温泉への道は意外と早く風が遮られるようになったのでこれはありがたかった。下るに従ってガスも薄らいできて、良いお天気とは言えないが雨も降ってなく曇天という感じだ。

土曜日とあって十勝岳や富良野岳を目指す登山者がここを登ってくる。「稜線に出ると強烈な風だから、十分に気をつけて」と声をかけながら下った。十数組の登山者全員に注意喚起してきたが、「そうですか、それならここから引き返します」という登山者はいなかった。それはそうだ、曇り空でさほど風がない場所でいきなりそう言われても、私が彼等の立場でも引き返すことはないはずで、やはり自ら体験しなければ納得できないものだ。そうではあっても事前に情報を伝えておけば、その場に行った時により適切に判断が出来るだろうと考えたからで、声をかけながら下りたことは無駄ではないと思っている。

ゴールの十勝岳温泉には9時前に到着した。長い縦走の終着点だからやり遂げた達成感は大きい。しかし、一番の感激は温泉に入って6日分の汗を洗い流せたことで、月並みな表現だが生き返った思いがした。長期縦走が可能かどうかは体力ではなくて何日風呂を我慢できるかで決まるのではないかと思ったことだった。

ともかく今回の北海道旅行のメインと位置づけていた縦走が終わった。お天気に恵まれたとは言い難いが、かといって毎日悪い条件の中を歩いていたわけでもない。コースの見所やここは良いなぁと言うところは堪能してきたと思っている。旅行日程もこれから後半に入る。引き続き魅力的な山を楽しんでいくつもりだ。/福西

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GPSで記録した登山ルートの地図画像が見られます(画像ファイルは100KB前後です)
オンライン地図(山旅倶楽部)の2万5千全国地図とカシミールを使用していますが、画像を縮小している為、縮尺は正確ではありません
地図上で登山ルートを赤色の実線で表示しています。歩いたコースが往復で異なる場合や行動が複数日に
渡る場合は、色を変えている場合があります(例:登りを赤色、下りを紫色。一日目を赤色、二日目を紫色)