山行報告>北海道の山2010(9)夕張岳

2010/8/10

 
【日 程】平成22年8月10日
【山 名】夕張岳
【標 高】1,667.7m
【天 候】曇り
【メンバー 】福福
【地 図】※デジタル地図の該当部分を切り出したもの
【タイム】
 夕張ヒュッテ5:56−−−7:31石原平7:41−−−7:52望岳台7:55−−−9:34夕張岳10:14−−−11:37望岳台11:47−−−13:04夕張岳ヒュッテ
       


大雪〜十勝岳への縦走を終えた日は層雲峡YHに戻り宿泊し、翌日も連泊して洗濯や縦走で濡れたテントなどを干す等、休養を兼ねて次の山行に備えた準備を進める。テント干しも層雲峡は天気が悪いので、旭川まで行って河川敷で干す等、なかなか苦労が多い。
翌日は比較的良い予報が出ていた夕張へ移動した。夕張岳の麓には夕張岳ヒュッテという有人の小屋があるので雨になっても安心だ。

夕張ヒュッテへは夕張川上流のシューパロ湖を渡りペンケモウユウパロ川沿いの砂利敷きの林道を走る。林道終点のゲート前に14時頃に着いた時には登山者の車が5,6台駐車していた。ちょうど下りてきた登山者に聞いてみると、今日のお天気はまずまずだったそうで、何とかもう一日お天気が持って欲しいものだ。
夕張岳ヒュッテはここから林道を数分歩くと着く。途中の「熊出没」の注意看板には熊の写真と目撃者の報告文が載っていて、内容を読んでみると今年の7月26日に山頂近くの釣鐘岩付近で目撃されたとか。異様に人慣れした、つまり人を怖がらない熊と書かれている。

夕張岳ヒュッテは古いが2階建てのかなり大きな建物で、1階、2階の好きな場所で泊まれるようになっている。自炊専用なので寝具や食事は宿泊者が用意する。建物は夕張市の所有だが管理運営は「ユウパリコザクラの会」という団体に完全に任されていて、シーズン中はここの会員が交代で管理人として詰めている。この日の宿泊客は我々だけかと思っていたたら、夕方頃にエゾ鹿の食害調査をしている学生らしい二人連れが来て、夕食は管理人さんからワインやビールを差し入れて貰って管理人さんを含めた全員一緒に庭のテーブルでとった。北アルプスの山小屋のように大規模な小屋では経験できない触れ合いがここにはある。

翌朝、学生達に続いて我々も出発する。夕張岳へのコースは二つあって、ヒュッテの庭から始まる馬の背コースと、林道を少し戻ったところの冷水コースだ。ガイドブックでは冷水コースから登って馬の背に下りてくるルートを紹介していたので、我々もそのようにコース取りをする。冷水コースは緩やかな林の中の道で歩きやすい。お天気の方は曇り空ながら徐々に明るくなってきた感じがする。途中に冷水の沢と前岳の沢という水場があるので必要なら水の補給が出来る。

前岳の沢から途中の馬の背分岐を過ぎ30分程登ると石原平という所に着くが、この前後でシラネアオイが群生しているのが見られる。もちろん今は葉が茂っているだけだが、6月中・下旬から7月上旬にかけては見事なお花畑になっているはずだ。石原平の先の望岳台は残念ながら雲が多く期待した眺望は得られなかった。この後、前岳の山腹を回り込むがこの道は狭くて歩きにくい。憩沢の水場を過ぎると木道が現れて平坦な地形が続くようになり、快適に歩けるようになる。がま岩とその先のひさご沼を過ぎると蛇紋岩崩壊地、上部の湿原が近づきいよいよ夕張岳の核心部に入って行く。同時に熊の出没地帯に入り込んでいるわけでもある。

標高1,450mの崩壊地マークの所に水場があって、滔々と水が流れ出ている。これは湧き水なので安心して飲めるのだが、その直ぐ脇に熊の真新しい足跡があり、やっぱりいるのかと不安が高まる。この先には池塘もある湿性のお花畑が広がっていて、今はリンドウの花が目立つ程度だが、伸びやかに広がる草原は気持ちの良い場所だ。のんびり歩きたい場所なのに視線をあちこちに巡らせて熊の姿はないかと警戒しながら歩くのでは気が休まらぬ。

熊に遭遇したと書かれていた釣鐘岩を無事に過ぎ、吹き通しに近づいた時、こちらの気配に気付いたエゾジカ2頭が草原を駆け下りていった。吹き通しにはここだけに見られる花、ユウバリソウがある。写真で見ると白花のウルップソウという感じの花で、花期は6月下旬から7月初旬の非常に短い期間のようだ。今は葉っぱと種になった部分が残っている。 吹き通しから一登りで金属製の鳥居と小さな社の夕張岳山頂神社があり、更に一登りすると山頂に着く。雲が多くすっきりした眺望は得られなかったが、雨に降られなかったのは良かった。

山頂で昼食をとって40分程過ごしてから下山にかかると、これから山頂を目指す登山者と良く行き会う。平日であっても人気のある山だ。夕張岳固有の植物が見られると言うだけでなく、湿原やお花畑を含めた山自体の雰囲気が良く、自分たちの想像してた以上に素晴らしい山だった。これで熊の不安さえなければ言うことはないのだが、後日に白銀荘で出会った夫婦から該当の熊にやはり釣鐘岩付近で遭遇したという話しを聞いた。こうなるとかなり頻繁に熊は現れていて、他にも相当数の目撃事例がるのではないかと思える。出会わなかった我々はきっと運が良かったのだ。今のところはこの熊に襲われた話しは無いが、今後もそういう事が起きないことを願いたい。こういう良い山に悲惨な事故は似合わないから。/福西

 トップページへ戻る             ポイント写真及び山の位置はこちら+trk2googlemaps & kml

次の山行報告へ


前の山行報告へ

GPSで記録した登山ルートの地図画像が見られます(画像ファイルは100KB前後です)
オンライン地図(山旅倶楽部)の2万5千全国地図とカシミールを使用していますが、画像を縮小している為、縮尺は正確ではありません
地図上で登山ルートを赤色の実線で表示しています。歩いたコースが往復で異なる場合や行動が複数日に
渡る場合は、色を変えている場合があります(例:登りを赤色、下りを紫色。一日目を赤色、二日目を紫色)