山行報告>剥きだしの山、霊仙山

2014/4/19

 
【日 程】平成26年4月19日
【山 名】霊仙山
【標 高】1,083.5m
【天 候】曇り時々晴れ
【メンバー 】Y井、T田、I田、J久、O橋、N羽、沼T、福福、(F井)
【タイム】
今畑登山口8:43−−−9:32笹峠9:40−−−10:12近江展望台10:19−−−10:59霊仙山最高点11:08−−−11:18霊仙山12:18−−−13:38汗ふき峠13:42−−−13:50かなや山小屋13:56−−−14:08林道出合14:08−−−14:57醒井養鱒場
       


霊仙山には何度か登ったことがあるのだが、常に米原市側の醒ヶ井や柏原がアプローチの起点で、南の多賀町側から登ったことはなかった。加えて4月中旬という時期にこの山に登るのも初めてのことで、コースや山の様子はどうだろうと登る前から興味津々だ。

近江鉄道の多賀大社前駅から予約しておいたタクシーに乗り込み、駅から概ね20分で登山口に到着したが、後半の山間に入ってからの道は舗装はされているもののすれ違いも出来ないような狭い道だった。この登山口には近江タクシーの運行表示表が側の電柱に貼り付けてあって、それによると事前予約すれば1時間に1本の割合で運行している乗り合いタクシーに乗ることが出来るようだ。

準備ができたところで登山口を出発し、杉林の中を10分程登って今畑の廃村に着いた。廃村という言葉の響きだけで物悲しい雰囲気を感じてしまうが、住人のいなくなった里に今を盛りと咲き誇る桜が無常感を際立たせている。その廃村を抜けると尾根道になり、やがて傾斜が緩む辺りから気持ちの良い林が続くようになった。冬枯れの林で若葉もまだこれからというところだが明るいのが良い。鞍部を過ぎ少し登り返した所に標識があったのでここで一息入れた。多分この場所が笹峠だろう。

その笹峠から先は急登でおまけに冷たい北風をまともに浴びるようになる。石灰岩の露頭と丈の低い草付きの登りで、風除けになるような木々も無く、笹峠で脱いだウインドブレーカーを再度着込む羽目になった。ただ、木々で遮られない分眺望は素晴らしく、春らしく霞んではいるものの鈴鹿の山や琵琶湖の湖岸を見下ろすことが出来る。殊に尾根を登り切った所にある近江展望台は周りの景色を楽しみながら一息付ける場所だ。

展望台から先は稜線直下を岩屑を踏んで行くように道が付けられているので南霊山山頂は素通りしてしまうのだが、その150m程先に雨水が溜まった池を囲むように小さな林がある。その林がフクジュソウの大群落があると言われている場所で、登る時期が少し遅いのではないかと心配していた我々も、幸いお目当てのフクジュソウを見つけることが出来た。大群落という程の規模ではないが、そこここに咲いているので探してようやく見つけ出すというというわけではなかった。

このフクジュソウの他に目についた花は霊仙山最高点の手前に数株あったヒロハノアマナぐらいで、山野草の盛りの時期にはやはり少し遅かったようだ。それよりも驚いたのは山頂周辺の様子で、芽吹き前だから山全体が茶色っぽくなっているのは当然だが、あるべき筈の笹が全く見当たらないのだ。笹枯れ現象と言うのがここ数年特に鈴鹿北部で顕著になっているとは聞いていたが、霊仙山の状態は想像以上だった。笹がないと見通しが良くなってスッキリとはするのだが、土壌流失とかそこに住む生き物達への影響とか色々問題が出てくる。なぜ枯れるかについてはっきりした原因は分かっていないようなので、現状は様子見というか特に打つ手はないらしい。

我々の方は最高点を経由して三角点のある霊仙山へは予定していた時刻より1時間早く到着した。比較的風の当たらない山頂南側の斜面で昼食を始めると、醒ヶ井から登ってきたF井さんが現れた。我々と合流する為に急いで登ってきたと言っていたが良いタイミングだった。昼食後はそのF井さんが登ってきた醒ヶ井に下る。経塚山へ回り込み、お虎ヶ池を経由して、新芽が吹き始めた林の道を下る。正面の山肌に点々と桜の花を見つけることが出来て、春山らしいなとウキウキしてくる。

狭い汗ふき峠で無理やりひな壇状に並んで休憩した後、山腹を下ると土日のみ営業の茶屋が有り、飲み物を手に入れた登山客が大勢が休んでいた。ここは榑ヶ畑というやはり廃村で、私が初めて訪れた頃は廃村後でも畑仕事に通っていた人もいたのだが今はどうなのだろう。茶屋からは沢沿いに暗い植林の中を下ると傍らに立派な登山口の標識が建つ車道に出て、そこから1時間ほど歩けば醒井養鱒場のバス停に着く。バス停からJR醒ヶ井駅行きのバスが出ていて、今回は上手い具合に予定より一本前のバスに間に合ったので早い時間に名古屋に戻ることが出来た。

さて、今回の霊仙山の印象だが前に書いたとおり、私にとっては驚くべき山頂風景だった。鹿害の声もあるがそれだけでは一面の笹枯れは説明できないように思う。10年後位にまた登ってみてその時の様子を見てみたい気がする。

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地図上で登山ルートを赤色の実線で表示しています。歩いたコースが往復で異なる場合や行動が複数日に渡る場合は、色を変えている場合があります(例:登りを赤色、下りを紫色。一日目を赤色、二日目を紫色)