【日 程】平成26年7月1日〜2日
【山 名】大峰山 【標 高】1,915.2m(八経ヶ岳) 【天 候】1日目曇り、2日目曇り 【メンバー 】福福 【タイム】 7/1 川合登山口10:50−−−12:09林道出合12:16−−−12:59栃尾辻13:19−−−14:54狼平15:01−−−15:51弥山小屋16:02−−−16:25八経ヶ岳16:32−−−16:56弥山神社16:58−−−17:00弥山小屋 7/2 弥山小屋6:03−−−7:27トンネル西口分岐7:35−−−8:52行者還小屋9:01−−−9:24行者還岳9:25−−−10:09和佐又分岐10:09−−−10:14七曜岳10:54−−−11:55960m12:05−−−13:53和佐又山14:14−−−14:39和佐又ヒュッテ15:07−−−15:57和佐又口バス停 |
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大峰山は近年世界遺産に登録されたことにより注目の地域となり、登山道などの整備も進められ登山者もその恩恵を受けているようだ。
私が初めて大峰山に登ったのは20歳台前半の頃だから、もう40年以上前の事になる。ニッカボッカにキスリングザックという出で立ちで、ビニロンの屋根型テントを担いで山上ヶ岳から前鬼までの奥駈コースを縦走した。この頃に比べると山の装備も随分進化したものだと思う。 当時は百名山という言葉も知らなかったが、今回改めて百名山を目指そうとして困った事があった。大峰山系の代表的な山といえば、当然大峯山寺がある山上ヶ岳だと思うのだが、今もなお女人禁制を守り続けていてカミさんと一緒には登れないのだ。別コースで行って途中で落ち合うというコースも検討したが、結局、山上ヶ岳からの縦走は諦め、山系の最高峰である八経ヶ岳に登り和佐又へ下山するという横断コースに落ち着いた。 1日目 名古屋を早朝に出たものの、登山口のある天川川合のバス停に着いたのが10時20分。道探しや出発準備にも手間取り、登り口を発ったのが10時50分と、山に登るにはちょっと遅い時間である。その上、今日の宿である弥山小屋までは10km以上の距離があり、標高差も1,300m近くあるので行程としては長く、少々焦り気味のスタートであった。 ただ、道は直ぐに植林の中の急登になったものの、急な登りも最初の送電線鉄塔までで、以後は緩やかな道になって歩きやすく予想よりも行程が捗った。この川合から弥山までの道は基本的に尾根通しのコースなのだが、尾根上に有るピークはどれも必ず巻くようにルートが付けられていて、ピークは全く通らない。ピークを踏まない分、無駄なアップダウンが無いわけで、人に優しい登山道だと私には思えた。どんな人がこの道を拓いたのか知らないが、感謝されてしかるべきだと思う。おかげでこちらのペースも快調で、登り口近くの標識に登り7時間とあったほどはかからずに済みそうだ。 林道出合に出てパンで小腹を満たした後、お昼は古い避難小屋の建つ栃尾辻でとった。ここまでで距離的にはこの日の行程の半ば近くになり、出発時間の遅れも取り返している。この次の休憩ポイントは狼平で、そこまで周囲の林の雰囲気を楽しみながら歩く。このコースは緩やかで歩き易い登山道も良いが、ブナの多い林がまた素晴らしい。巨木といえるブナも多く残っているのは、林が良く守られてきた証拠で、歩いていても気持ちが良い。 弥山川にかかる吊橋を渡ると狼平の避難小屋に着く。まだ真新しく内部も綺麗で、水場も近くにあるので泊まるのにはうってつけだ。ただし、トイレはなく、野外で用を足した場合は、使用後の紙は持ち帰るようにと張り紙がしてあった。 狼平から先は階段が続くようになり、長い階段に疲れが出た頃、オオヤマレンゲの蕾を見つけた。実は八経ヶ岳山頂付近のオオヤマレンゲが例年7月上旬に花をつけると聞いていたので、内心それを期待していたのだが、弥山の手前にもわずかだがそれがあった。ただし、いずれもまだ蕾の状態だったので、ここより標高の高い八経ヶ岳で咲いているのを見つけるのは難しそうだ。 大黒岩を過ぎると枯れ木が林立する尾根になり、まもなく巨大な弥山小屋に到着した。小屋番さんの話しでは、この日の泊り客は我々2人だけだそうで、山小屋の貸し切りというのも初体験だった。宿泊手続きだけして宿に荷物を残して八経ヶ岳に向かう。夕食が5時だそうなので、それまでには帰ってくるつもりだ。一旦、鞍部まで下ってから登り返すと直ぐに鹿の食害防止の為のネットフェンスが有り、その中にお目当てのオオヤマレンゲがあった。しかし、下で見たものと同じく蕾ばかりで、一輪として咲いているものはなかった。残念である。 程なく到着した八経ヶ岳山頂の標識には「日本百名山 大峯 近畿最高峰」と誇らしく書かれていた。夕食時間が気になるのであまり長居はせずに引き返し、弥山山頂の神社に無事登頂のお礼参りをしてから小屋に戻ると、予約なしで来た外国人男性一人が増えていたが、他には小屋の外に単独男性のテント一張と、梅雨時期の平日は登山客は極端に少ない。 2日目 朝食時間を少し早めてもらって、6時に小屋を出発した。この日もロングコースなので出発は早いほど良い。しばらくは急な下りが続くが、この時間からもう登ってくる登山者に行き会う。行者還トンネル西口分岐までの間に10組以上とすれ違ったが、早朝に車を飛ばしてきたか、トンネル近くで車中泊でもしたのだろう。トンネルからのルートは八経ヶ岳への最短ルートで人気のコースである。 その西口分岐を過ぎるとパタリと人影は途絶えるが、道自体はしっかりしている。コンクリートのベースの上に立つ石造りの立派な標識を時折見かけるが、世界遺産のエンブレムがあるので、これも世界遺産登録の効果の一つだ。行者還の避難小屋までは快適な尾根道で、正に稜線漫歩が楽しめる。ただし、昨日よりは少し雲が多く、弥山山頂はずっと雲に隠れたままだった。 その行者還の避難小屋は狼平のものより更に立派で、一間構造ではなく部屋が分かれているので、グループごとにまとまる事で出来る上、流しやトイレもあるので快適だろう。飲み水は少し先に進んだ水場のホースから新鮮な水が湧き出している。 ここで会った単独男性はトンネル東口から登ってきて、行者還岳を目指すらしいが、地図に有るはずの道が無いと言っていた。確かに地図にはここから稜線通しに登山道が描かれているので、私も小屋の裏手に登って辺りを探ってみたが、そのような道は見つけられなかった。またここに建っている標識も巻道の方を示すものだけだったので、尾根通しで行く道は無いと判断して巻道を進むことにする。 水場を過ぎ狭い岩溝に階段の急登が続く道を登り切ると、その先に行者還岳への分岐があったので登ってみた。行者還岳はこの分岐から往復するのが一般ルートのようだ。ただし、寄り道して登ってはみたものの展望もなく甲斐のない山頂だった。この後も痩せた岩尾根のアップダウンが続き、それまでの優雅な稜線歩きとは様変わりだ。 和佐又への分岐に着いたが、直ぐ上にある七曜岳で昼食にしようと更に一登りする。眺めが良いとガイドにあった七曜岳山頂では確かに山上ヶ岳は良く見えたが、木が邪魔をして360度の展望とはいかず、ちょっと期待はずれだった。昼食を済ませてから和佐又分岐に戻り、とびきり急な道を下り始めた。 実は和佐又へはこの道を下るのも、七曜岳から更に稜線を進んで大普賢岳まで行ってから下るのもコースタイムはほとんど変わらない。変だなぁと思ったのだが、実際に歩いてみてその理由が分かった。和佐又分岐は標高が大体1,500mほどで、そこから無双洞の下にある水簾の滝(標高960m程)まで一気に下って、膝がおかしくなってしまうのだが、そこから一転登りになり大普賢岳分岐(標高1,220m程)まで登り返すというハードなコースで、これなら素直に大普賢岳まで行った方が良かったのではと後悔した。 幸い大普賢分岐から先は急な道はなくなり、最後のピークの和佐又山への登りも楽な登りで助かったが、それまでは鎖場やハシゴの連続する実に疲れる道だった。 和佐又山の麓にある和佐又ヒュッテには10年以上前に一度泊まった事があるが、建物の感じは以前のままのようだ。中でビールでもと入口の所まで行って驚いた。何とあのオオヤマレンゲが入口脇に咲いているではないか。そこにいた女の子から、「あっちの方にいっぱい有りますよ」と言われた方へ行ってみると、有る有る。興奮して写真を撮りまくったが、八経ヶ岳では出会えなかった花にこの場で出会えたのに感激した。旅の最後にぐっと盛り上がってしまい、お陰でここからバス停までの約1時間の道のりも苦にならなかった。 梅雨の晴れ間狙いの今回の山行、雨に遭うこともなく、念願のオオヤマレンゲの花にも出会えて大満足で終わった。帰りの電車の乗り継ぎが良すぎて、名物の柿の葉寿司を買う暇もなかったのは見込み違いだったが、正に会心の山旅であった。 トップページへ戻る
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