【日 程】令和5年8月31日〜9月1日 【山 名】爺ヶ岳、鹿島槍ヶ岳 【標 高】爺ヶ岳2,669.9m、鹿島槍ヶ岳2,889.2m 【天 候】1日目晴れ、2日目晴れ 【メンバー 】福福 【タイム】 8/31 扇沢駅6:53--7:06柏原新道登山口7:10--8:17ケルン8:18--9:13休憩9:20--10:20鉄砲坂10:27--10:39種池山荘11:20--12:22爺ヶ岳(中峰)12:31--13:24冷乗越13:25--13:40冷池山荘 9/1 冷池山荘5:49--7:36鹿島槍ヶ岳(南峰)7:51--8:31布引山8:32--9:26冷池山荘9:47--11:09爺ヶ岳(南峰)11:13--11:46種池山荘12:13--13:33休憩13:38--13:50ケルン13:50--14:43柏原新道登山口14:43--15:05扇沢駅 今から半世紀以上前のことになるが、1971年(昭和46年)8月に職場の知り合いに誘われて、唐松岳から鹿島槍ヶ岳への縦走に出かけたのが私の最初の山登りになる。登る前は自信満々だったのが、初日の八方尾根の登りで早くも大バテし、家に帰ると駄々をこねて皆を困らせた。荷物を持ってもらうなどして何とか登ったが、私が足を引っ張ったため当初の唐松から針ノ木という計画を鹿島槍までに縮小したのだった。荷物の重さに腰を90度曲げで歩いていた、あんな苦しい思いをしたのは人生で初めての経験だった。以来50年以上も山登りを続けているが、その始まりはこんな情けない山登りだった。鹿島槍ヶ岳には調べて見るとその後3度登っているが、いずれも縦走で訪れていて鹿島槍だけを目指して往復するというのは今回が初めてだ。 1日目 前日宿泊した大町温泉郷から早朝の扇沢行きバスに乗ったのは我々のみで、おそらく大町駅の始発から乗車したと思われる2人と合わせて4人が全乗客とは随分と寂しい。最近は扇沢へ向かう多くはマイカーか観光バスを利用するらしい。扇沢に到着してバスの来た道を15分程戻って橋を渡った先が柏原新道登山口になる。川の対岸と更に下流側にも駐車場があり登山者のものらしい沢山の車が停められていた。 登山口から登り始めると道は直ぐに急登になるが、良く整備されていて登り易い道だ。丁度出かける4日前のNHK「小さな旅」で種池山荘が取り上げられていて、小屋の主人が登山者が歩きやすいようにと登山道の手入れに尽力されている様子が放送されていた(再放送)。確かに気合いを入れないと身体を持ち上げられないような極端な段差は全くなく、丁寧に道作りがされている。 登り始めて1時間10分程でケルンを過ぎると谷を隔てた向こう側に水平な稜線が見えるようになり、更に登ると種池山荘の赤い屋根も目に入ってきた。振り返れば針木岳、スバリ岳の迫力ある山容が、さすが北アルプスという気分にさせる。水平道の標識辺りから道の傾斜は弱まり、富士見坂の標識からはその名の通り富士山を望むことができた。鉄砲坂手前で呼吸を整え、そこから一登りすれば種池山荘に着く。 小屋前のベンチで昼食の計画なのだが、私は胃がムカムカして食欲がなく水だけ飲んでの休憩になる。小屋名物のピザはこの日の販売はなく、居合わせた登山者は皆がっかりしていた。土曜日にはまた販売があるとのことだったが、翌日、我々が到着した時には既に売り切れてやっぱり口には入らなかった。40分程休憩した後、次の爺ヶ岳に向かって歩き出すと突然目の前に立山・剣が現れて思わず歓声を上げる。 高曇りながら槍ヶ岳の姿も望め、この日の展望には大満足だ。岩屑の道になり踏みしめると足元で岩の擦れ合う乾いた音がする。たまに鉄琴のような甲高い音を出すのもあって、これでメロディになれば楽しいのにと思う。爺ヶ岳には複数のピークがあり、最初のピークが南峰で次が三角点のある最高峰の中峰、中峰から進路が北に変わってその先に北峰があるが、北峰には明瞭な登山道はない。 爺ヶ岳はピークを踏まずに巻き道で通り過ぎることも出来るので、通過するだけの山というイメージが私にはあるのだが、眺めの良さからここだけを目指す登山者もいるようだ。確かに爺ヶ岳からの眺めは圧巻で360度遮るものがない。 中峰から今日の宿である冷池山荘までは近そうに見えるのだが、実際はアップダウンもあって結構長い。冷乗越から最後の登りを終えやっと冷池山荘に着いた。胃薬を飲んだおかげで胃の状態も良くなったので、昼食に小屋のラーメンを食べてやっと空腹を満たせた。この日の行動はここまでで終了。 2日目 朝5時の小屋の朝食を終えると、各登山者は続々と出発していくが、支度の遅い我々はいつも出遅れ気味でほぼ最後尾辺りの出発である。天気の方は昨日と同じで高曇りながら山はくっきり見えるので鹿島槍ヶ岳からの眺望が楽しみだ。下界は猛暑だがここでは吹く風が冷たく一枚羽織って出発する。北に向かって進むに連れ剱岳が益々近づいてきて、裏剣の様子が明瞭になる。 前日も感じたのだが三の窓雪渓にしても小窓雪渓にしても雪渓の雪がほんの少量しか残っていない。昨日の種池山荘での休憩中に聞いた話では、白馬の大雪渓コースは雪渓崩壊の為通行止めになっているとか。我々が出かけた8月の頭でも随分と雪渓が痩せていると思ったが、これも温暖化による少雪の影響か。 下山してくる単独女性とすれ違ったので、聞いてみると朝3時過ぎにテント場を出て鹿島槍に登って降りてきたのだそうだ。きっと山頂でのご来光を楽しんだのだろう。その後もポツリポツリとすれ違う人が続き、山頂が近づくに連れてその数は増えてポツリポツリからゾロゾロという感じになった。皆んな行動が早い。 布引山の山頂近くで3羽の雷鳥に遭遇した。3羽とも同じような大きさに見えたが、母親と成長した子供だろう。既に3羽共腹の羽毛が白く変わっていて、冬毛への転換途中という状態だった。それにしても雷鳥に出会うのは随分と久しぶりのことで、それだけ高い山に登ってなかったという事になるが、ここで出会えたのは嬉しかった。 布引山山頂は後回しにして、一旦下っていよいよ鹿島槍ヶ岳への登りにかかる。稜線の東側が真夏ならお花畑になる所だが今見られるのはヤマホタルブクロ、ヤマハハコ、ミヤマアキノキリンソウ、ミヤマトリカブト等で数も少ない。一歩一歩足を進めて7時半過ぎに目的の鹿島槍ヶ岳(南峰)に到着した。八峰キレット越しに五竜岳や白馬岳も望むことが出来るのが爺ヶ岳に比べて優位な点だ。 そして目に前には鹿島槍ヶ岳(北峰)が形良くそびえているが、これまで北峰ピークに立ち寄ったのは一度だけで、今回ももちろん寄る積りはない。ピークでは不思議と行き合わせる若い女性に今度もお願いして山頂記念写真を撮ってもらい、眺めを堪能したら15分程の滞在を切り上げて来た道を引き返す。帰りには布引山山頂に寄ってここでも記念撮影し縦走路に戻り冷池山荘へ。 山荘ではデポしておいた荷物を回収して重みの増したザックを担ぎ直し、昨日来た道を今度は逆方向から爺ヶ岳を目指す。この日は最高峰の中峰はパスして昨日寄らなかった南峰には立ち寄り、行き帰り合わせて爺ヶ岳を完登という形にした。昼前に種池山荘に到着して、小屋でカレーライス(レトルト)を頼んで昼食とし、ここからの長い下りに備える。 柏原新道は良く手入れされているとは言っても、長い道が短く感じられるとまではいかず、小屋から2時間半かけて登山口に到着した時はもう膝はガクガクで体は疲れ切った状態だったが、更に自動車道路を20分以上頑張って扇沢駅まで歩き通し、予定していた大町駅行きのバスに間に合わせた。 今回は高山ならではの眺望を満喫できた山旅だったが、それだけではなく雷鳥との遭遇という幸運もあって北アルプスの山の魅力を再確認できた。できれば窮屈な山小屋ではなくてテントで寝泊まりすれば更に良かったのだが、今の私にテント山行できる体力があるかどうか、残念ながらそこが自信の持てないところだ。 トップページへ戻る ポイント写真及び山の位置はこちら→ ![]() | |
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