山行報告>亡霊のような登山者や快速山女に出会った、七ツ石山

2023/9/10〜11

【日 程】令和5年9月10、11日
【山 名】七ツ石山
【標 高】1,757.3m
【天 候】1日目晴れ、2日目晴れ
【メンバー 】ふく
【タイム】
 9/10 鴨沢バス停9:14--11:15堂所11:32--12:36七ツ石小屋(泊)
 9/11 七ツ石小屋4:48--5:16七ツ石山5:17--5:54千本ツツジ5:58--6:54日蔭名栗山6:55--7:20鷹ノ巣山避難小屋7:28--7:58鷹ノ巣山8:09--9:40六ツ石山9:46--10:37三ノ木戸山手前11:04--12:26三ノ木戸林道出合登り口12:32--12:49羽黒三田神社12:53--13:15奥多摩駅

最近、北アルプスの山小屋泊まりを経験するようになって、窮屈な小屋ではなくて自由なテント泊が良いなぁとしきりに思うようになった。とは言うものの体力面の不安から以前のようなテント山行は難しいと分かっているわけだが、それでも軽い山ならどうだろうと計画したのが今回の七ツ石山テント山行だ。七ツ石山は雲取山への通過点という山に過ぎないが、すぐ下に七ツ石小屋というテント場付きの管理人常駐の営業小屋があるのが安心な点で、加えて鴨沢から雲取山への道はゆったししていて急登というのが無いというのが、重い荷を担いでいても何とかなりそうという気がする。翌日は雲取山は目指さないが七ツ石山から石尾根を奥多摩駅まで下るという事で一応縦走らしい形にした。

一日目
奥多摩駅からの満員バスは途中の停留所で少しずつ乗客を降ろして、ようやく膝の上の重いザックを下ろせたと思ったら、間もなく鴨沢に到着した。10名近くの登山客が降りたがが、軽荷の人ほどさっさと出発して行き、私ともう一人テント山行らしい単独男性と小屋泊まり風の単独女性、更に地に足がついてないというのか、地面に足の力が伝わらないようなふわりふわりと歩く単独男性。以上4人が最後尾グループとなったが、それも次第に間隔が開いていった。

バス停から30分程で駐車場に着いて、この時点では私が4人中のトップで歩いていた。舗装路の脇から山道に入り、木陰で日が遮られるのは何よりだが、普段とは違う荷の重さに全身が汗びっしょりだ。あまり傾斜のない山道をじりじり進んでいくと、早くもこの道を下ってくる人とすれ違うようになる。大抵は道を空けてくれるので、礼を言って止まらずにそのまま進む。緩やかな道ではあっても息が上がり、次第に肩や腰、臀部の筋肉に痛みを感じるようになる。何とか堂所までは休憩せずに行こうと思っているのだが、まるで這うようなスピードで何とか登っているという有様。

とうとう道の真ん中で立ち止まりペットボトルのお茶を飲もうとした時、左側から無言のまますっと抜いていく人がいる。例のふわふわ単独男性だった。この人他の登山者と行き合っても挨拶することもなく、抜かれるまで気配を感じなかったのだが、ずっと私の後ろに付いていたのだろうか、全く気が付かなかっただけに気味が悪かった。その単独男性は相変わらず宙を漂うような歩き方ながら、意外と歩行スピードは早く、間もなく私の視界から消えていった。あれは亡霊か。

ようやく堂所について、道端に座り込んでコンビニで買ったお握りとサンドイッチで昼食を済ませ、いざ出発しようとする頃になって4人の中の単独女性が追いついてきた。堂所から七ツ石小屋まではもうそれほど距離はないが、休憩直後こそ元気よく歩き出せたものの、その内にやっぱり青息吐息状態に。何とか小屋に到着したのだが、それでも14時過ぎと想定していた到着時刻より随分と早かったのでびっくりした。ここのコースタイムはかなり甘めのようだ。

後ろにいた単独女性は姿を見せなかったが、私がテントを張り終えてのんびりしている時に、4人の内のもう一人のテント山行者が現れた。てっきりこの天場に泊まるのだと思ったのだが、彼は山頂まで行くと言ってしばらく休憩してから出発していった。うーん頑張るなぁ。この日は夕方からガスになり、テント内で食事をして7時頃には就寝。

二日目
この日は3時に起床、朝食後テントを撤収してヘッドランプを点け4時48分に出発し七ツ石山を目指す。星は出ていたが雲が多そうだ。途中の分岐にザックを置きそこから空身で七ツ石山に向かうと徐々に辺りが明るくなってきてランプは不要になった。山頂にはほぼ日の出時刻の5時16分に到着して、誰もいない山頂で自撮りなどしてから、山頂の下にある七ツ石神社で山行の安全を祈願して石尾根縦走をスタートする。

石尾根に入ると尾根コースと巻き道の2つに分かれる。次の千本ツヅジのピークを踏んでおこうと尾根道を進んだが、繁茂したシダに付いた朝露でズボンがぐっしょり濡れてしまった。おまけにツツジが沢山あるのかと思った山頂はそうでもなく、この尾根コース選択は間違いだった。尾根コースは諦めて巻き道に降りた所で、昨日テン場で一緒だった男性と再会。彼氏の話では巻き道の途中から富士山が綺麗に見えたそうだ。それと、この先の高丸山の巻き道は閉鎖されているので尾根道を行くことになると教えてくれて、彼氏は峰谷に向かって下山にしていった。

確かに高丸山手前で巻き道はロープで閉鎖されていたので尾根コースで進み、高丸山と次の日蔭名栗山のピークを踏んだが、2つとも取り立ててのピークではなく単なる通過点という感じ。日蔭名栗山を下るとやがて鷹ノ巣山避難小屋が見えてくる。以前、峰谷から鷹ノ巣山に登った時に昼食をとった懐かしい小屋だ。小屋から200m下には水場があるので、ここで泊まるというのも良いなぁと次のプランがひょいと頭をよぎった。この先にも巻き道はあるが、ここはピークを目指して尾根道を登る。見覚えのある道をゆっくり登れば誰もいない鷹ノ巣山の山頂だ。今日はテン場で一緒だった男性以外とはまだ誰にも会っていない。頂上から眼前の富士山を独り占めだが、その富士山には麓にかけて雲が湧き始めていた。ここから家にいるカミさんに連絡しようとしたが電波が届かない(docomo)。ただLINEでメッセージを入れておけば、電波が通じるようになった時には発信されるので、時間差で交信はできた。

鷹ノ巣山での休憩を切り上げゆったりした道を下っていくと次の城山に着くが、ここは全くピークらしくはなく、立木に付けられた山名板で認識できる程度。その先のカラ沢の頭から急な坂道を下り切ってなだらかになった地点で初めて対向のトレラン男性に会った。直後に普通の登山スタイルの女性ともすれ違ったが、おそらくペアなんだろう。この二人とは又後で出会うことになる。ゆったりした地形の将門馬場を過ぎ、六ツ石山の山腹を回り込むように進むと山頂への分岐に着いた。六ツ石山山頂は縦走路からは少し外れているので分岐にザックを置いて往復する。六ツ石山山頂ではこちらの到着直後に水根方面から単独男性も上がってきた。楽しみにしていた南アルプスの眺めは雲が多くて得られなかったのでさっさと分岐に引き返した。

その先からはしばらく下りが続き、このコースではいつも休憩する三ノ木戸山手前の場所でカップラーメンの昼食をとってから、いつもは通らない三ノ木戸山経由で下ることにする。石尾根コースとは外れているので標識などもないが、緩やかな地形なので通られてはいるようだ。行ってみると何の変哲もない林があるだけで特に寄り道の必要もなかったが、とりあえず通過して元の石尾根コースに戻った。その先は植林内の掘れた道になり、湿った山土が滑りやすい嫌な下りが続く。こういう道さえなければ石尾根はもっと快適なんだがと文句タラタラで下っていたら危うく尻餅をつきそうになった。

更に下って道の状態も良くなってきた辺りで先に出会ったトレラン男性に抜かれた。疲れも出てまだかまだかと思いながら下る内にようやく三ノ木戸林道出合の登り口に到着。やれやれと一息入れている所に今度は女性の方が下りてきたので、どこまで行ったのか聞いてみると鷹ノ巣山との答えだった。凄い快速ぶりだ。ちなみに鷹ノ巣山からここまでの私の下山に要した所要時間は4時間15分(休憩時間を含む)、その上で彼女に出会った地点から私のペースで鷹ノ巣山を往復すると2時間20分程度はかかる。つまり4時間15分のコースを私より2時間20分遅れで出発した彼女が追いついてしまったという事になる。トレールランナーならまだしも一般の登山者風の彼女だから驚きだ。天狗のような速さだと脱帽した。

登り口の所から舗装された林道を下り、途中ショートカットで再び山道に入って羽黒三田神社で無事下山のお礼を伝えてからこの後はのんびりと奥多摩駅への道を下った。
久々のテント山行を終えて、多少の自信は得たが同時に不安を感じることもあった。
今回は登り下りともコースタイム以内で行動できたのが、やり遂げたという自信であり、反面、登山中に感じた肩、腰、膝の痛みに更にスケールアップした山でも耐えられるだろうかとう不安だ。こればかりは少しずつレベルを上げながら検証するしかないわけだが、やってみたら駄目でしたでは済まない危険が山にはある。やはり慎重に臨まなければならない。

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GPSで記録した登山ルートの地図画像 が見られます。
オンライン地図(山旅倶楽部)の2万5千全国地図とカシミー ルを使用していますが、画像を縮小している為、縮尺は正確ではありません
地図上で登山ルートを赤色の実線で表示しています。歩いたコースが往復で異なる場合や行動が複数日に渡る場合は、色を変えている場合があ ります(例:登りを赤色、下りを紫色。一日目を赤色、二日目を紫色)