【日 程】令和5年12月14日 【山 名】阿蘇山 【標 高】1,592.3m(高岳) 【天 候】晴れ後曇後小雨 【メンバー 】ふく 【タイム】 仙酔峡登山口7:52--9:51高岳火口壁9:53--10:00高岳10:06--10:32中岳10:35--10:37転倒・休憩10:48--11:07南岳11:10--12:27山上ターミナル 祖母山に登った翌日は阿蘇山を計画していた。ところが疲れの出てしまったカミさんが当日急遽取りやめた為、私一人が登ることになってしまった。それでは「夫婦二人で百名山」にはならないので、阿蘇山は後日に持ち越しということになってしまうがまぁやむを得ない。 JRの宮地駅から予約しておいたタクシーに乗り、登り口の仙酔峡までは20数分、料金1,990円で着いた。仙酔峡にはかつて楢尾岳の南、標高1,280m地点まで延びるロープウェイがあり、中岳への最短ルートとなっていたが、2010年の運休後、再開されることなく廃業してしまった。現在はワイヤーケーブルは撤去され、橋脚のみが残されている。私が訪れた時には登山者のものらしい車がだだっ広に駐車場にポツンと1台駐車しているのみだった。 タクシーを降りてから身支度を整え、駐車場の東側の登り口から登り始める。しばらくはコンクリートで固められた遊歩道だが、その舗装が尽きるとカヤトの中を行く登山道が始まる。足元は溶岩の固まった岩がゴロゴロする歩きにくい道で、標高が上がるに連れて急になるという嫌な道だ。阿蘇特有だろうか、赤い色の滑りやすそうな岩が続き、大きな岩場に出ると乗り越えるのに苦労する。登り始めから高い木は全く無く、振り返ると遮るものない見事な眺めが広がる。ただ、阿蘇山上部は雲の中に隠れていて、このまま登ると雲の中に入っていくようだ。 昨日の疲れもあるのかなかなか足が上がらずゆっくりとしたペースでしか登れないが、駐車場から2時間かけて高岳の火口壁に到着した。少し前からガスに包まれるようになっていたため眺めは全くないが、ここに登りつけばこの先急登はもうないのでやれやれといった所だ。火口壁を南西に少し進めば阿蘇山最高峰の高岳で、誰もいない山頂で自撮り写真を数枚撮ってから次の中岳に向かって下る途中ガスのせいで少し道を間違えた。正しい道に戻って月見小屋への分岐に出た所で反対側からやって来たパトロール隊員と思われる男性と出会う。今日始めて出会った登山者だった。 彼と別れほぼ傾斜のなくなった道を進めば次のピークの中岳だ。ここもやはり人影はなかったが、風に乗って人の声のようなものが聞こえてくる。どうも下の駐車場辺りからの放送装置による音声のようだ。周りが何も見えないのは高岳と同じでやはり写真を数枚撮ってからさっさと山頂を後にしたのだが、下り始めて直ぐにうっかり浮石に乗って派手に転倒してしまった。手首につけたapple watchが転倒を感知して緊急通報を促してきたのを、大丈夫と返してから体の状態を調べてみると、左膝と右掌が擦り傷を負って少し出血していた。幸い大した怪我ではなかったので、右掌は水をかけて汚れを落としてからバンドエイドで処置した。 ここまでほぼ休みなく歩いて口に何も入れてなかったので、少し落ち着こうとその場に座り込んで水と食料をとり、反省しながら休憩する。急ぐ必要もないのに心に焦りがあったようで、単独行では陥りやすい心理状態だったようだ。そこからは慎重にと自分に言い聞かせながら下ったが、そんな時に一瞬ガスが切れて眼前に驚くべき光景が広がった。噴煙を上げる中岳火口と旧火口、それを取り巻く砂千里と草千里の眺めは正に日本離れした景観で、これはと思ってカメラを構えた時には再びガスがそれらを覆い隠してしまった。 吊尾根を下って南岳のピークにも寄り道してから、最後の難関になる急な岩場を下る。この頃になると入れ違いに山頂を目指す人達とすれ違うようになり、話し声の中には外国語も混じってこれまでとは一転して賑やかになる。その多くは登山者と言うよりは観光客のようだったが、中には今朝仙酔峡から登ったが頂上はガスで何も見えなかったので、改めて晴れ間を期待してこちらから登り直すと話す若者もいた。岩場を下りきった所が砂千里で、ここまでくれば後は坦々とした道が続き、車道に並行する遊歩道を山上ターミナルまで歩けば今回の山旅は終了だ。 バスを待つ間に小雨が降り出してきたので、晴れを期待して一日に二度の登頂に挑戦したあの青年には気の毒だが、私にとっては良いタイミングで下りてこられたという事になる。この雨は山中でつまらん怪我をした私への阿蘇山からの気遣いだったかもしれない。 トップページへ戻る ポイント写真及び山の位置はこちら→ ![]() | |
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