【日 程】 令和6年4月2日 【山名・標高】浅間嶺 903m 【天 候】 晴れ 【メンバー】 ふく 浅間尾根は三頭山から派生した東西に伸びる尾根で、古から人の往来や物資の運搬の為の尾根道が整備され、それが今ではハイキングコースとなって多くのハイカーが訪れている。元々生活路として利用されていた事から、峠には馬頭観音像などの石仏が多く残されているので、人や馬が行き交った往時を偲ぶことができる。 ハイキングコースとしては払沢の滝入口から浅間尾根登山口までが良く歩かれているが、同コースは2021年1月に歩いているので、今回は尾根の北側にある小岩集落から尾根に取り付く計画を立てた。ところがネットで調べてみると小岩からの林道が崩落して通行止めになっているという事が分かり、直前になって小岩より少し下流の夏地集落からアプローチするよう計画を改めた。幸い所要時間にはそれほど大きな差はない。 五日市駅から乗ったバスは先週と同じ行き先のものだが、新型の電動バスに変わっていた。山間地域を走るバスにも電動バスが進出してきたのは驚きだが、乗り心地の方は椅子が硬くてあまり良いとは言えない。夏地バス停で降りたのは平日とあって私だけだった。バス停から少し戻ると案内標識があるので、それに従うと伐採地の中のジグザグ登りになる。日陰も何も無いほとんど裸地なので、下から見上げれば登っている姿はよく見える筈だ。標高差200mを一気に登り切ってから植林地の端でようやく一息つけた。 植林地とその後の自然林を順に抜けると尾根道に出た。この道は払沢の滝入口から時坂峠・峠の茶屋を越え小岩に下る舗装された道だが、ここで車の通るのを見たことはないので、おそらく一般車の通行は止められているのだろう。その峠の茶屋前からは御前山と大岳山が綺麗に見えた。 小岩への舗装路と別れ一旦沢に向かって下っていくと壁に「お代官休息処跡」と書かれた豪壮な屋敷跡に出る。今は空き家になって朽ちていくのを待つだけだが、少し前までは茶屋として利用されていたようで、更に昔は街道の駅としての役割を果たしていたらしい。その少し先には石畳が残されているのでその時代を偲ぶことができる。 沢沿いの道から山腹に取り付くと尾根に出た所に立派なモミの木が一本あり、思いがけずその場所で花びらは閉じていたがカタクリの花を見つけた。カタクリはうららかな里山の春というイメージの代表選手だ。そこから自然林の中を気持ちよく登っていくと分岐標識があり、小岩への登山道は通行止めと書かれていた。ネット情報は正しかったわけだ。 ここから展望台方面に向かい雰囲気の良い林から茅原に変わると直ぐに浅間嶺と書かれた大きな標識の立つ展望台に着く。これまでは北側の景色だけが見えていたが、ここは南側も開けて富士山もしっかり見えた。浅間尾根と言うからには富士山とは切り離せないわけだが、はっきりと眺められるのは、この日歩いたコース中ではこの展望台からだけである。その理由は稜線まで植林が進んでしまった事と、ルートが尾根の北側を通る箇所が多い事による。従って富士山を眺める目的としてはこの浅間尾根は適当ではない。 小休止の後、展望台から西に下ると峠に出て右手の休憩舎には寄らず真っ直ぐ尾根を登ると植林地の端の檜の木に「浅間嶺903m」のプレートが取り付けてあった。ここが正式な浅間嶺の位置なのだろうが、展望も何もない場所なので先程の展望台の方に浅間嶺の大標識を村が立てた気持ちは良く分かるというものだ。そこから下って休憩舎からのメイン縦走路に合流し、石仏を祀った人里峠を越え杉林の中の細い道を進む。 峠でもない所にも浅間石宮の社があり、その先の「一本松」にはお賽銭の上がった馬頭観音像があった。藤倉バス停への分岐を過ぎると植林が切れて一時的に自然林が現れ、その先にサル岩がある。小岩場の解説板に猿の手形が岩に残っているとあるが、それがどれだか判然としない。そこを過ぎるとやはりお賽銭の沢山上がった馬頭観音像のある数馬分岐で、ここから下ると浅間尾根登山口バス停に出られる。 ベンチで小腹を満たしている所に下から一団が上がってきて、先頭で説明をしているガイドさんの話の内容や雰囲気から「風と谷」の山田哲哉さんではないかと想像したのだが、もし当たっていれば思っていたよりは小柄な人だった。休憩後は風張峠方面に向かい893pまで登ってから少しっ下って一旦舗装された林道を渡り、しばらく水平に進めばやはり石仏の置かれた数馬峠に着く。 ここからも浅間尾根登山口バス停に下れるが、私は更に植林の尾根道を進んで1018p直下にある仲ノ平バス停分岐まで歩きこの地点を今日の浅間尾根の最終地点とした。この先も尾根道を進めば、風張峠から三頭山に出ることもできるが、車が通る奥多摩周遊道路を歩くことになるのであまり魅力的ではない。分岐からは急な道を約30分かけて車道まで下り、目的の数馬の湯まで行って今回の山歩きを終了した。 今回は計画より早く下りてこられたので、予定より一本前のバスで帰ろうと、温泉はカラスの行水で済ませ、お目当ての食堂へ向かったのだが、楽しみにしていた舞茸丼はこの日は売り切れとかでガッカリ。それでも代わりに頼んだ煮込みがまた美味くて、十分に代打の役割を果たしてくれた。 さて、改めて浅間尾根の印象だが、前回の報告にも書いたが良いのは眺めの楽しめる前半の浅間嶺までで、その後はひたすら植林の中を歩くことになり面白みはない。ただ、尾根に上がってしまえば後は超がつくほどの平坦な道がずっと続くので、楽で安全な山歩きができる。その場合は途中で会った一団のように西から東に向かって縦走したほうが後半の方に気分の盛り上がる箇所が多いのでより楽しめるのではないかと思う。 ![]() ![]() |
浅間尾根 / ふくさんの活動データ | YAMAP / ヤマップ