【日 程】 令和6年6月8日 【山名・標高】宮之浦岳 1,936m 【天 候】 雨 【メンバー】 ふく 計画段階の予報では良い天気になるはずだったのに、日が近づくに連れ悪くなり当日は雨。加えてカミさんが体調不良を訴えて不参加ということで、今回は出始めから当ての外れた山になった。 淀川登山口の小屋でカッパ上下を着込んでいる私の隣で、ガイドとお客さんという二人連れも同じように出発準備をしていた。お客は初心者らしくガイドが細かく注意を入れている。彼らより先に出発して林の中の道に入ると小雨のせいか雨の影響はあまり感じない。予報では昼ごろから強まると言っていたので、それまでに出来るだけ標高を上げておきたいところだ。 途中に目立つ大杉があったので写真に撮っておいたが、これが淀川大杉だろうか。昨夜は小屋に泊まったという若い女性とすれ違うと間もなく淀川小屋に着いた。 この小屋は1994年(平成6年)11月にM上さんと二人で島に着いた日に泊まった場所だ。訪れるのは30年ぶりで懐かしい。内部を覗いてみても相変わらず綺麗で居心地が良さそうだ。ずっとこの状態で残ってほしいと思う。 小屋を出て淀川にかかる鉄橋を渡ると少し登りになり、それが一旦傾斜が緩んでその後再び登りになる。シャクナゲの花が雨にかすみながらも暗い林の中を明るくしてくれている。前回登った時は花のない時期だったのでこういう景色は嬉しい。途中で夫婦らしい二人連れを追い越し、再び傾斜が緩んで小花之江河の湿原に出ると、程なく花之江河に着いた。前回は乾燥していたような感じだったが、今回はしっとりとして日本庭園らしさが際立っている。季節で随分と印象が異なるものだ。 小さな社に手を合わせてから進むと次の休憩ポイントは黒味岳分岐になるが、着いてみるとツアー客とガイドを合わせて十数人がそこで休んでいた。前回はどうせ戻ってくるのだからここにザックを置いて黒味岳を往復しようと言ったのだが、「ザックは持っていきます」とM上さんは酒の詰まった重いザックを担いだまま往復した。あの頃のM上さんは強かったなぁ。そんな感慨に浸りながらツアー客の前を通り過ぎる。 二箇所のロープの下がった場所を過ぎると投石湿原の標識のある平坦地に出た。この後、シャクナゲのきれいな投石岳、安房岳の山腹を通過し、大岩の鎮座する栗生岳を過ぎると最後の宮之浦岳への登りになる。雨の方は少しずつ強まっているようで、フードを叩く雨音が大きくなって来た。登りきった宮之浦山頂では岳宮を探してしばらくウロウロする。 実は前回は岳宮に寄っておらず、そこを訪れるのを今回の目標にしていたのだ。三角点のある山頂ではなく、焼野三叉路方面に少し下ると分岐があるのでそれを左手に進むと雨宿りできそうな岩屋が有り、その奥に岳参り詣所と書かれた石の祠を見つけた。岳参りとは海岸から海水を含んだ砂を竹筒に詰め、それを山頂の山の神に供えるという神事で、田中陽希さんがそれをしているのをテレビで見てこの場所に行きたいと思っていたのだ。田中さんと違いお供えは準備してなかったが、無事登頂のお礼と下山の安全を願って頭を垂れた。 岳宮から更に進んで登ってきた登山道に出ようとしたものの笹に阻まれてこれは断念。結局来た道を山頂に戻るとちょうど途中で追い越した夫婦連れが山頂にいた。岳宮の話しをすると彼らも興味を持ったようでその場所へ行く事になり、私は一足先に下山を開始した。 投石岳近くまで来た所でメスのヤクシカに遭遇したが、あっという間に姿を消してしまった。しかしその先の投石平近くでは今度は角を持ったオスのヤクシカが現れ、こちらは人間なぞ気にしないとう言う風情で悠然と笹の葉を喰んでいた。お陰でしっかりカメラに収めることが出来た。 その後は腹ペコ状態ながらひたすら下り淀川小屋でようやく昼食の弁当を食べることが出来た。小屋には若い外国人の男性が一人いて、今夜はこの小屋で泊まると言う。ネズミに注意の看板(英語でも書かれてる)を示して、気を付けてと言って別れた。登山口では下山の途中からお迎え時間繰り上げの連絡を入れたタクシーが既に待っていたのでスムーズに乗り込むことが出来、これで無事山行を終了した。 以上が今回の様子だが、カッパは滲みて下のズボンまでぐっしょり、靴は中まで水が入り沢靴状態に。考えてみればこんな雨中登山は久しぶりで、以前経験したのはいつだったかも思い出せない。その意味では随分と新鮮な山登りを経験させてもらった宮之浦岳だった。 ![]() ![]() |
宮之浦岳 / ふくさんの活動データ | YAMAP / ヤマップ