【日 程】 令和6年7月20日〜22日 【山名・標高】塩見岳 3,047.3m 【天 候】 1日目 曇り一時雨、2日目 晴れ、3日目晴れ 【メンバー】 福福 1日目 三伏峠へは塩川土場が長らくメインの登山口とされていたが、10年近く前に塩川小屋近くの林道法面が崩落し、現在に至るまで歩行者を含む全ての通行が禁止されている。当然塩川へのバス路線も廃止されたわけだが、これは現在の登山口である鳥倉登山口に振り替えられたので、我々のように車を持たない登山者はバスを利用して登山口まで行くことができる。 ただし、登山口まで入れるのはバスだけでマイカーの場合は、登山口から4km弱手前の林道ゲートまでしか入ることはできない。ここに第1駐車場が設けられていて、更に下に第2、第3の駐車場があるが、第3駐車場に至っては登山口から6.5kmも離れた位置にある。このためマイカーで来た人達は駐車場〜登山口間はバスを利用するとか、車に積んできた自転車を登山口まで持ち上げて、せめて下りだけでも楽をしようと考えている人達もいる。その手段を持たない人は長々と林道を歩くことになる。 我々の登ったのは土曜日だったため、第3駐車場まで既に満車状態で、溢れた車が路肩に駐車しているような状態だった。鳥倉登山口には平成6年に私が初めて来た時にはなかった簡易トイレやバス待合所の建物があり、登山口としての体裁は整っている。十数台の自転車がデポしてあるのがなんとも言えない風景だ。2台のバスで到着した登山者たちがそれぞれのペースで出発していき、我々はほぼそのほぼ最後尾辺りで出発する。 登り始めはカラマツの植林地で林床にはシダが繁茂している。急登はないが粘土質の滑りやすい道を登っていくと、植林は終わりコメツガやオオシラビソの自然林に変わって、いかにも南アルプスという雰囲気になる。お天気の方は梅雨明けした割には曇り空で、それも段々と暗っぽくなっていく感じで期待外れだった。コルを過ぎるまではまだ持ちこたえていたが、2248pの山腹を巻く辺りからしとしとから強い降りに変わり、慌ててカッパを着込んだ。まず使うことはないだろうと思いつつ持ってきた新品のカッパの出番になった。しかし降り方は直ぐに弱まりやがて上がってしまったが、面倒なので小屋まで着たままにした。 標高2,310m辺りに「ほとけの清水」という唯一の水場あり、そこから上部にかけて木の桟道が多く現れるが、大抵は壊れていて修理の必要なものが多い。小屋近くになると金属製のメッシュ階段が設けられていたので、これからはこのタイプに切り替わっていくものと思われる。三伏峠小屋には昼前に着いた。この日の内に塩見小屋まで向かう登山者もいるが、残念ながら我々は小屋の予約が取れなかったので今日はここまでだ。 それにしてもキャンプ場のテントの数が半端でない。すし詰め状態と言って良いほどなのは梅雨明け最初の土曜日のせいだろうか。テントの人達は色々する事があるがこちらは夕食まで何も無い。ビールロング缶800円也を一本空けて、19時半消灯、就寝。 2日目 夜半に降った雨も幸い上がってくれたので、好天を期待しつつ小屋を出発。荒川岳への分岐を左に取り、まずは昨日小屋からピークが見えていた三伏山へ。雲は多めながら青空の広がる中、三伏山に到着するとここからも三伏峠小屋が良く見えて、一番右端が我々の部屋だと直ぐに分かった。次のピークの本谷山まではずっと樹林の中だが、途中にのぞき岩という展望場所がある。ここから振り返るとさっきの三伏山や小屋がよく見えた。 本谷山山頂は展望はなく、他パーティが休んでいたので素通りして、少し下ると枯れ木の目立つ場所から山頂付近が雲に覆われた塩見岳が見えた。本谷山を下り権右衛門山の山腹を巻き気味に進んでから塩見小屋への登りにかかる。ここまではアップダウンはあるものの急登はなく、比較的歩きやすい道が続いている。我々は塩見小屋横を通過してそのまま塩見山頂を目指す。この先からガレ場や鎖場のある岩場の登りが始まる、今日の核心部だ。 ゾロゾロと言うほどではないが、前後に人の列が続く。高山植物が見られるようになり時折その写真を撮りながら行くのも楽しい。じっくり構えて撮るわけではなく、登るついでのスナップ写真なのだが。塩見岳の西峰には大勢の人が集まっていたのでここはパスして東峰へ直行する。三角点のあるのは西峰なのでここまでで引き返す人も多いようだが、東峰のほうが5m高いのでどうせなら寄ったほうが良い。2分もあれば着いてしまうのだから。 ここで大展望を満喫するというのが今回の計画だったのに、生憎雲が多く富士山さえおぼろげに見えただけだった。それでも塩見の山頂自体は霧に巻かれるようなことはなく、のんびり過ごすことができた。山頂を後にして塩見小屋に下る途中、北岳山頂の雲が取れ、農鳥、間ノ岳、北岳、甲斐駒は山頂が見えた。ただ、仙丈岳はずっと雲を被ったままだった。 塩見小屋の日陰で昼食の弁当を食べ、しばしゆっくりと過ごし、昼前には小屋を出発して気温の上がってくる中を三伏峠小屋に引き返す。距離はあるが急な登りのないのと、樹林が日を遮ってくれるのが有り難い。本谷山で休憩を取った13時半頃の暑い時間帯に塩見小屋を目指す3パーティとすれ違い、思わず気を付けてと声をかけた。 この後、三伏山でも若い単独男性とすれ違ったのだが、既に時刻は14時半少し前。我々のペースで三伏山から塩見小屋へは2時間半かかっている。この暑さの中を飛ばして歩くのもきついだろうし、小屋の夕食に間に合えば良いがと気になった。三伏山で少しのんびりしてから三伏峠の小屋に戻ったが、朝出発してからちょうど9時間の行動時間だった。小屋で連泊し翌日下山の計画なので夕食までのんびりする。この日と下山用に2Lペットボトル水を購入800円也。 3日目 朝は濃い霧が出ていたが、段々上がってきた。小屋の窓から覗くとテントの数が半減している。大方は日曜日の内に下山してしまったのだ。土、日の休みに縛られるのは今も昔も変わらないなぁと年寄らしいため息をついてから出発する。小屋から20分程下った所に分岐があって、今はロープで閉鎖されているのが塩川への道だ。長期にわたり通行止めになっているのでこのまま廃道になってしまうのだろうか。 下りで気をつけなければならないのは壊れた木の桟道で、ここは十分に注意する。後は普通の登山道でバスの時刻には十分に間があるので焦らず下る。林の中まで日は差してこないが、上空は既に青空で気温も上がってきている。カラマツの植林地に入り登山口が近づいた時、前方に動くものがある。鹿だった。動きが早いのと茂ったシダのせいで写真にうまく捉えられなかったが、最後に鹿の登場で締めくくったのは大鹿村の村の名に違わぬ登山者サービスだった。 登山口では数名の登山者がのんびりバスを待っていて、私も背中を日に向けて汗ばんだシャツを乾かしながら時間を潰した。バスの出発間際に駆け込んだ夫婦連れが居て、彼らは駐車場までの乗車だった。後1分遅れたら長い林道歩きを強いられた筈なのでラッキーだった。 バスは途中の道の駅でトイレ休憩があり、そこで買ったブルーベリーは粒も大きく甘くて美味かった。実は今日もまだ食べているのだが、これで1パック500円は格安だ。次回の入手機会を熱望している。 ![]() ![]() |
塩見岳 / ふくさんの活動データ | YAMAP / ヤマップ