【日 程】 令和6年8月2日 【山名・標高】大朝日岳 1,870.7m 【天 候】 晴れ 【メンバー】 福福 朝日連峰には1995年(平成7年)9月に登っている。その時は友人と二人で朝日ナチュラリストの家から鳥原山経由で大朝日岳に登り大鳥池まで縦走している。雨にもたたられたけど、主稜線の雰囲気がとても良くて、その時の報告に「朝日連峰は穏やかな山並みが、縦走大好き人間にはこたえられぬ。」と書いている。 それを今回は大朝日岳の日帰り往復の計画にしてしまったのは、30年前のように重い荷物を背負って縦走するのが体力的に無理なのではないかと考えたからだ。出来るだけ荷を軽くして軽快に登ろうという目論見なのだが、それでもコースタイムで12時間程度の行動時間になるので、楽な登山ではない。 前夜は古寺登山口にある「古寺案内センター」に泊まった。名称は案内センターだが二段ベッドと和室を備えた宿泊施設である。従来あった古寺鉱泉「朝陽館」が廃業した後に作られたもので、建物自体も新しくまた食事も山菜主体で美味しくて居心地が良かった。 当日は長時間行動になる事を考え早朝4時半に案内センターを出発。古寺川を渡り壊れた朝陽館の建物前を通ってから山腹に取り付く。数回ジグザグを繰り返すと尾根に出て、豊かなブナ林の中を登るようになった。林の中なので全部の空が見えるわけではないが快晴と思われる好天気である。ただし気温は高く早朝出発にも関わらず既に背中がじっとり汗ばんでいる。 標高840m辺りに「合体の樹」というブナとヒメコマツがくっついて1本化してしまった木があった。道は総じて緩やかで一部にぬかるみや木の根で歩きにくい所はあるが順調に登っていかれる。標高1,130m辺りの「一服清水」で最初の休憩をとった。このコースには水場が3箇所ありここが一番目の水場で、火照った体に冷たい水が美味くて、つい何杯も飲んでしまう。そこから少し登った尾根の鞍部が日暮沢への分岐でこの道も良く使われているようだ。 この先、標高1,360m辺りに2番目の水場の「三沢清水」があり、この場所で同宿の夫婦に追いつかれた。ここでは我々が先行したが古寺山でまた追いつかれ、その後は我々が大朝日小屋から山頂に向かって登り始めた時に頂上から下ってきた彼等とすれ違ったので、おそらく我々より1時間以上早く下山したんではないだろうか。 古寺山は距離的には大朝日岳との中間地点で、出発してからここまで約3時間かかっているが、往復で考えると四分の一の行程になるわけだから先はまだまだ長い。次の小朝日岳へは巻道と直登コースの2つあって、大したことはないと登り始めた直登コースは急登で苦しかった。 小朝日岳には鳥原山からのコースが合流していて、ここから先は一度通ったコースということになるが、もちろん明確な記憶は残っていない。小朝日岳で眼前の大朝日岳の眺めを十分に楽しんでから出発するがいきなりの下りである。それも1647mの小朝日岳から1470m辺りまで標高を落とすので、小朝日岳に登った以上に下げることになる。あの登りの苦労は何だったんだろうという事になるので、すなおに巻道を通った方が良いかもしれない。 最低鞍部からまたジリジリと標高を上げていく。大して急な登りではないのだが疲れが溜まってきているのできつい。ようやくの事で銀玉水について一段と冷えた湧き水に生き返る思いだが、それもつかの間のことで再び登りが始まると前を行くカミさんからずるずると遅れる。時々心配気に立ち止まってこちらを待ってくれるというのを繰り返しながら登っていく。どうもこの暑さにやられてしまったようだ。 1769pには朝日嶽神社の奥宮があるので、辛い登りでも事故など起こしませんようにと念入りにお祈りしておいた。間もなく大朝日小屋に着く。建物の周りにぐるっと足場が組まれていたので外壁工事でもやるのだろうか。小屋の近くはお花畑になっていて色とりどりの高山植物が見られるのが楽しい。以前来たのは9月だったのであまり花はなかった。 ここから山頂までは一登りだが、このタイミングで周りの山に雲がかかり始めて視界が悪くなってきた。山頂に着いた時にはほぼ展望なしという状況になってしまい、山頂から朝日連峰の縦走路を目で追うという楽しみは失われてしまった。お昼をとりながら少し粘ってみたが変化なく、諦めて小屋に下った。 小屋番さんから今朝は空気が澄んで周りの山が素晴らしく良く見えたという話しを聞いて、なおのこと悔しかったわけだが、小屋番さんの「大朝日岳は軽い荷物で簡単に往復できる山だけど、小屋に泊まればまた違う楽しみが得られる」という言葉が、途中の小朝日岳で会った青年が言っていた「昨晩の星空と麓の街の明かりが本当に綺麗だったです」と重なり合って日帰りコースを選んでしまった私の胸に響いた。 私にもう一度朝日連峰の山の上で泊まれる機会はあるだろうか、その事を考えながら再び長い道のりを麓に向けて下ったのだった。 ![]() ![]() |
大朝日岳 / ふくさんの活動データ | YAMAP / ヤマップ