山行報告>お正月はゆったり尾根歩き、天平尾根

2025/1 /5


【日 程】  令和7年1月5日
【山名・標高】丹波天平 1,343.0m 
【天 候】  晴れ
【メンバー】 福福

「東京都シルバーパス」というのがある。70歳以上が利用の条件だが都内の都営交通、民営バスでこのパスが利用できる。私はもちろん日常的に利用しているが、特に有り難みを感じるのは奥多摩へ出かけた時だ。奥多摩の山は鉄道駅からバスに乗り継ぐという所が多く、と言うかほとんどがそうなのだが、場所によっては片道千円以上の料金がかかるところもある。今回は入下山口とも山梨県内だったが、それでも途中の都内区間はこのパスが効くので差額だけ支払えば良いのだ。都内在住の老人ハイカーには有り難いの一言である。

さて、今回出かけた天平尾根は3年前の正月にも登っている場所で、その時の印象がとても良くいつかは若葉の季節にと思っていたのが、また同じく正月の時期に登ることになった。正月は人が少ないとか、林の中の見通しが効くとかの理由もあるが、やっぱり気持ちの良い尾根の雰囲気をもう一度味わってみたいというのが大きな動機だった。

シーズン中はいつも満員になる奥多摩駅からのバスは、やはりというか想像通りのガラ空きで、親川バス停で降りたのは我々二人だけというのも3年前と同じだった。眼の前に登山道に続く階段があるのだが、それが上に一軒ある住居の私有地なのか見極めがつかず、今回もバス道路を少し戻った登山口から入る。落ち葉の詰まった歩きにくい道は相変わらずで、この時期に訪れる人の少なさが想像される。

尾根に乗っても直ぐに山腹のトラバースに変わり、植林の中を進んでいくとやがて廃屋の残る集落跡に出合う。昭和40年代頃まではここに人の営みがあったであろうと想像しながらそこを過ぎ、また長いトラバースを続けると今度は石垣だけが残った集落跡が現れた。この後山集落は先の高畑集落より以前に離村した所で、今は井戸跡?と屋敷の石垣に往時を偲ぶだけだ。

小休止後に再び登りだし標高差で150m程登った所で杉の植林が切れた。傾斜が緩まり眼の前は明るい落葉樹の林で登る程に尾根が広がっていく。厚く積もった落ち葉に足を取られるので、標識やガイドロープを頼りに歩きやすい道を探しながら進むと目の前を猿の一群が横切っていった。ここが保之瀬天平の一角だ。

標高1,150m付近でアカマツの純林を通過するのだが、林床を実生から育った幼樹がカーペット状に覆っている。前回ここを通った時には不思議な光景に思えた場所だ。
我々の普段の山歩きではアカマツの純林を見ることはほぼなく、通常見かけるのは他の植物と混成した林だ。そんな所では他の植物がアカマツの成長を妨げるので、この場所のように松の実生が集団的に成長することはない。まず見かけることのない光景を目にして違和感を感じたというのが前回の印象だったんではないだろうか。

少し尾根幅が狭まってくると右手に雲取山が見えるようになるが木々が邪魔をしてすっきりとは見えないのが残念。やがて再び広々とした場所に出るとそこが標高1,343mの丹波天平で、分岐標識とアンテナだけが静かに立っている。どこでも好きな所で休憩できそうだが、少し進んでカラマツの植林内で昼食にした。メニューは3年前と同じくすき焼きで、今回は酒を忘れなかったので改めてお正月気分に浸ることができた。

昼食後は左手に富士山を探しながら進むと、見えるには見えたがやっぱり木立が邪魔してスッキリ見渡せなかった。竿裏峠(サオラ峠)からならなんとかと思ったが、峠からも見にくさは同様で天平尾根は富士山展望には適していない。峠からはザレたトラバースを緊張しながら進んだ後は急な尾根道を下る。山王沢の標識から進行方向が南東に変わり暗い植林の中の道を下りていくと、畑の上部に出て間もなく「サオラ峠登山道入口」のフェンスゲートに着く。ここまでの道は3年前と変わらない。

変わったのはバス停付近で、以前はバスの転回場にバス停があったが、今は少し下がった丹波山村役場の横に停留所が移っている。トイレは役場内のものが利用できるが、建物内はまだ建て替えられたばかりなのでピカピカだ。職員の人の対応が親切でありがたかった。これからも登山者に優しい村であり続けてくれることを願いながら帰りのバスに乗り込みこの日の山歩きを終了した。



 
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