山行報告>富士山を堪能した、本社ヶ丸

2026/4 /12


【日 程】  令和7年4月12日
【山名・標高】本社ヶ丸 1,630.8m
【天 候】  晴れ
【メンバー】 N田、福福

久しぶりにみどりの会の例会に参加してきた。会員歴は長いのだがほぼ幽霊会員で、東京近くで例会がある時はなるべく参加しようと思ってはいてもままならず、今回は久しぶりの参加だ。

「本社ヶ丸」は3月例会に予定されていたのだが、雪の為に4月に延期となっていたものだ。ところが4月初旬に又雪が降って一週間前に登った人のnet報告を見ると雪について触れているものが多かった。その後の降雪はないものの溶け残っていることも考えてチェーンスパイクを装備に加えたが、実際に出かけてみると稜線上に雪は見当たらず出番はなかった。そんな心配もあってか参加者が集まらず、この日は我々とN田さんの3人のみとちょっと寂しい例会になった。

それはともかく、当日は予報通りの好天で気分良く自宅を出発して中央線の列車に乗り込むと、車内は登山客やハイカーの姿がやたらと目に付く。みんなこの日を待ちかねて出かけてきたという感じだ。列車が高尾を過ぎると辺りは朝霧で遠くの山は見えづらくなったが、山腹に点々と咲く桜や近くは植えられた梅や桃などが列車の進行につれて益々艶やかになって、春爛漫という景色に心も浮き立ってくる。

集合場所である笹子駅で降りると、一緒に降りた登山客の数が多いのに驚いた。平日の山登りを実践している我々には予想外の人数で、おかげでトイレ待ちの列ができて出迎えのN田さんを随分待たせてしまった。

ここからはN田さんの車で登山口の東山梨変電所まで。車だと十分程度で着いてしまう距離だが歩くなると長く、我々は大助かりだ。変電所施設の周辺には駐車場はないので、適当な場所で先行者の車の後に駐車して身支度を整え8時20分に出発する。

橋を渡ると入山者カウンターがあるので一人一回ずつ律儀に押してから道路を進むと、道が上下に分かれるので下側の道を進み直ぐに沢を渡る。葉を落とした明るい林の中を緩やかに登っていくと、鹿除けのネットに突き当たるのでそれを潜る。この辺りが登山口とされている場所で標高は千m程の地点。本社ヶ丸の標高が1,631mなのでここから630m余りの標高差の登りという事になる。

少し登ると再び鹿除けネットに出合うので前と同様に支柱の紐を解いてネットを潜り、ラストのN田さんがまた結び直しておく。傾斜が強まってくると同時に昨日の雨のせいなのか道にぬかるみが現れるようになり、スリップに気をつけて尾根のジグザグ道を登る。冬枯れの林が続きまだ若葉も見られない中にキブシの花だけが唯一春の訪れを告げている。

足元に三裂した果皮とも萼片とも思えるものが散らばっているのが良く見られるようになり、これはなんだろうと首をひねった。その内に赤い種子が混じるようになって、N田さんからツルウメモドキではないかと声がかかった。ピンポーン。ツルウメモドキは秋に目立った実をつけるが、それが地面に落ちて冬を越したと思われる。まだ色彩のない林の中ではこんな小さなものでも良く目に付くものだ。

標高1,320m辺りにベンチがあり、歩き始めからほぼ1時間経過しているので休憩には良さそうな場所だが、稜線の清八峠までは一気に登って時間を稼いでおこうと考えていた私はそこは素通りしたのだが、後で二人の不平を聞く羽目になった。登るにつれて傾斜も増してきたが、標高1,500mを過ぎるとそれも緩まり、10時ジャストに清八峠に到着してようやく休憩をとる。

休憩中に本社ヶ丸方面からやってきた若いペアにどこまで行くのか尋ねたところ、御坂の黒岳までとの返事。おそらく我々と同じ列車で笹子駅に着いて、角研山経由で我々の3倍以上の距離を歩いて清八峠には我々とほぼ同着。この先黒岳を目指すという健脚ぶりは羨ましい限りだった。

峠で一息付いた後は彼らの後を追って直ぐ脇にある清八山へ。ここで今日初めて富士山とご対面だ。春霞でスッキリというわけにはいかなかったし、やや雲も出ていたが雪をまとった富士山はいつ見ても美しい。何枚も写真を撮ってからいよいよ目的地の本社ヶ丸へ向かう。一旦清八峠に戻りそこから尾根を東に向かう。所々で小さな岩場を越えて行く為、近い割に時間がかかる。

11時10分頃山頂に到着して、富士山の眺望はここでも楽しめたが、南アルプス方面は北岳の辺りに雲が張り付いてスッキリ見渡すことは出来なかった。頂上で昼食と十分な休憩をとった後、いざ出発という段になってカミさんが足が痙ったと言い出し、N田さんから薬をもらって何とか回復するというアクシデントがあった。実は私自身も途中の岩場でスリップしそうになり、思わず力を入れた左足の中指を痛めていた。

この為、ここから角研山経由で笹子駅に下るという我々の計画は、来た道を引き返すという事にルート変更した。清八峠に向かって稜線を下る途中から富士山は徐々に雲に隠れ始め、やがてほぼ見えなくなってしまったが、見られる間に登れて良かったと3人で喜びを語り合いながら下った。下り道では足の不調を感じることもなく、順調に歩行を続け13時56分に駐車場所に戻り例会を終了した。
本社ヶ丸は笹子駅から登り口までの距離が長いのが難点で我々は車で移動したが、土曜日ということもあってか歩いている人を何組も見かけた。それと清八峠で会った黒岳まで行くというペアは例外にしても、三ッ峠山方向へ向かう人あるいは三ッ峠山から来た人達にも何組か出会った。この程度の距離なら日帰りで悠々行かれるというその体力を素晴らしいと思ったのだが、そう感じるだけではなくそれに刺激を受けた良い一日だったとこの日の事を振り返っている。


 
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