【日 程】 令和7年5月20日 【山名・標高】蕎麦粒山 1,472.8m 【天 候】 晴れ 【メンバー】 ふく 奥多摩の蕎麦粒山は東京都と埼玉県の境界尾根(長沢背稜)にあるピークで、ルートとしては川乗橋近くの鳥屋戸尾根取付から登るのが最も近いが、この道は点線のバリエーションルートになる。2001年(平成13年)10月にそこを登ったことがあるのだが、足元の悪い急登が続き気持ち良く登れる道ではなかった。他には東日原からヨコスズ尾根を登り一杯水を経て行くか、今回私が使った川乗林道を延々と歩くコースだが、いずれもコースは長くなる。 今回はなるべく空いている山をという事で蕎麦粒山を計画したのだが、奥多摩駅からのバスは平日にも関わらず混んでいて私の降りた川乗橋バス停でも他に20人程が降りた。ここで降りる登山者は人気のある川苔山を目指す人がほとんどで、私も初めて川苔山に乗った時もこのコースだった。 支度の整った者から順に出発していくが、車止めのゲートから直ぐの所に蕎麦粒山への登り口(バリエーションルート)がある。今は蕎麦粒山と書かれた手書きの標識があるが、以前は笙ノ岩山という手前のピーク名が書かれていた。このルートは登り始めから急登だ。そこを見送って沢沿いの林道を進むが、沢が深くて様子は見えない。皆それぞれのペースで歩いているが、ゆっくりではない私も時々後ろから追い抜かれる。林道は飛ばして歩こうということなんだろう。 バス停から40分ほど歩くと細倉橋に着き、川苔山を目指す人達はここから右手の山道に入っていくが、蕎麦粒山へは更に林道歩きが続く。ミソサザイが近くに寄ってきて綺麗な鳴き声を聞かせてくれた事もあったが、私以外の人影はなくずっと続く林道歩きは単調だ。登り口までは休憩無しで行く積りだったのに、出発から1時間20分程歩き続けた所で、疲れと空腹でとうとう道路端にしゃがみ込んだ。 とりあえずお腹に入れてからまた歩き始めたが、ペースはがっくり落ちた。沢の流れが良く見えるようになり、そんな景色に癒やされながら進む。運搬用モノレールと「東京水道水源林」の標柱の所で沢から離れて、やがて林道が二手に分かれる場所(日向沢林道分岐)では左手の川乗林道を引き続き進む。未舗装の林道に変わって10分ほど歩いた所の擁壁に付けられた階段が登山口らしい。 標識はないが赤いテープが下がっている。それにしてもバス停からほぼ2時間の長い林道歩きだった。少し休憩を取ってから登り始めると、最初は荒れた感じだったが、尾根道は踏み跡は薄いながらも安定していた。急登でないのは林道歩きで疲れた体にはありがたい。標高1,250m辺りから道は山腹のトラバースが多くなり、1,330m地点で踊平巻道に合流した。 この巻道は山と高原地図には描かれているが、国土地理院の地図には記載がない。合流地点の立木に注意書きが張り付けられていて、「踊平巻道は土砂崩落のため通行できません!2024.6.13」と書かれていた。幸い崩落地点はここより東側にあるようで反対方向へ向かう分には問題なかった。 もっともこの巻道と稜線縦走路とはほんの僅かしか離れてなく、場所によっては標高差で10m程、水平距離で30m程しか離れてないので、繋げてしまっても問題ないのだが実際にはその地点では繋がっておらず、鳥屋戸尾根分岐から蕎麦粒山山頂に出た所で稜線縦走路に合流している。巻道の西側の始点は蕎麦粒山と仙元峠の鞍部に当たる鼓ヶタワだが、蕎麦粒山からに下ってその場に行ってみると巻道には通行止めのロープが張ってあった。つまり現時点でこの巻道を利用できるのは川乗林道から蕎麦粒山を登り下りする私のような者だけということになる。 話しを戻して鳥屋戸尾根分岐の事だが、川乗橋バス停近くの登り口から登ってくるとこの場所に出てくる。鳥屋戸尾根分岐の標識に黄色い注意板が下がっていて「悪路につき通行注意、死亡事故多発!」と書かれていた。急峻な場所もあるので特に下りはお勧めしないという事だろう。ミツバツツジの目立つ緩やかな尾根を登っていけば目的の蕎麦粒山山頂だ。 今頃、川苔山山頂は賑わっているだろうが、こちらの山頂は私一人だけで静かなものだ。元々展望の開けた山頂ではないのだが、この日は黄砂でも降ったように霞んでいて狭い範囲の眺めも明瞭でなかった。昼食後、並んで咲いているシロヤシオとミツバツツジの写真を撮ってから出発する。稜線の道には1,400m台の小ピークが続いていて小さな登り下りはあるもののほとんど標高を下げずに一杯水に至る。 その一杯水は以前と同じようにささやかな水量しか出てなかったが数分かけてペットボトルに満たしておいた。すぐ先に一杯水避難小屋があり、以前と壁の色が変わっていたので塗りなおされたようだ。小屋の裏手から30分もかからずに眺望の素晴らしい天目山(三ッドッケ)に行かれるのだが今日は寄り道はしない。 避難小屋から先はヨコスズ尾根の広々とした気持ちの良い下り道になる。最初はのんびり下っていたが、その内に予定より1本前のバスに間に合うのではないかと欲が出てきた。計画したバスは東日原バス停16時16分発で、15時台にはバスのない事は分かっていた。問題はその前のバスが何時かと言う事だが、おそらく14時台の後半であろうと見当をつけてシャカリキに飛ばした。 段々と足が辛くなってきて踏ん張りも効かなくなったが何とか頑張って東日原バス停に着いたのが14時48分。バス停の時刻表を確認してみると14時43分。何と5分前にバスは出た後だった。バス停に張ってあったタクシー会社に電話しても「今日は休み」とつれない返事だったし、配車アプリなぞ使えるわけもなく万事休す。結局計画したバスの時間まで売店も何も無い所で1時間半待つ羽目になった。 後半の頑張りは全く無駄だったわけで、根拠もないのに間に合うと信じて飛ばしてきた自分が馬鹿みたいだ。それでも元々の予定のバスにはちゃんと乗れたわけだし、待つ間に汗も引いてシャツも乾いた。何より頑張り通したという達成感に満足した一日にはなった。 ![]() ![]() |
蕎麦粒山 / ふくさんの活動データ | YAMAP / ヤマップ