山行報告>市道山から陣馬山へ

2026/6/13


【日 程】 令和7年6月13日
【山名・標高】市道山795m,陣馬山855m
【天 候】  曇り
【メンバー】 ふく

カミさんが友人達と高尾山に登るというので、同じ日に私は以前から気になっていたコースに行ってみることにした。そのコースというのは南秋川の笹平から市道山への道で、長い間通行止めになっていたのが、2024年3月に橋が架け替えられた事により通行可能となったものだ。

当日、曇り空の笹平バス停に降り立ったのは私一人。もっとも平日とあって武蔵五日市駅からバスに乗り込んだハイカーは僅か数人で、これは予想通り。
直ぐに秋川を渡り、支流の小坂志川沿いの林道を進むと10分ほどで通行止めのロープのある所に到着して、ロープを越えて更に林道を進む。ロープの所から3分ほどで市道山への道標が現れ、その横に昨年3月に新たに整備された橋があった。金属パイプで組んだいかにも仮設橋という感じの橋で対岸に渡ると、そこからヨメトリ坂の急登が始まる。

「その昔、八王子の絹織物が盛んだった頃、檜原村から大勢の若者が生糸を担いで、この道を歩いた。村の男女が出会うことから、やがて「嫁取坂」というようになった。昭和の初め頃まで、山仕事や畑仕事がない冬の時期に、檜原村から多くの若者が出稼ぎに行ったのもこの道だ。」こんなネット情報を見つけたが、なるほどヨメトリ坂は出会いの場であったわけだ。

この坂は登り始めが最も急で、その後緩やかになり市道山が近づくと再び急になる。道自体は長い間使われていなかった割には意外なほどしっかりしていた。事前に奥多摩サポートレンジャー会の自主巡視報告(2024年6月実施)を見ていたが、そこにも「長期間の通行止めにもかかわらず登山道はよく整備されている状況で特に問題はありませんでした。」と書かれていた通りで、昔から使われていた道である所以だろう。

途中、真っ赤なキノコを見つけたので、猛毒のカエンタケかと思ったのだが、形がシメジのようだったのでちょっと違うか。稜線に出ると道標があり以前は笹平方面に通行止めの掲示がしてあったがもちろん今はない。ここから左手に向かえば臼杵山、右手へ数分歩けば市道山山頂に着く。東側だけ開けた市道山は曇り空のため五日市方面の眺めも不明瞭だったが、吹き抜ける風が梅雨時にしては妙に冷たく感じた。

さて、往時の若者たちが市道山から先はどういうルートを辿ったかだが、市道山から稜線を400m程南下した所に「醍醐峠」の標識がある。醍醐丸近くの醍醐峠とは別物だが、地図にはここから醍醐川に下る道が書かれている。うっかりした事にその踏み跡を現地で確認していないのだが(ネット情報では荒廃しているが踏み跡はあるらしい)八王子へはこのルートが最短のはずだ。あるいは更に稜線を南下して茶店のある和田峠に出てから、より整備された道で八王子へ向かうか、このどちらかだろう。

市道山から標高670m近くの醍醐峠まで標高を下げた後は、小さなアップダウンを交えながら醍醐丸に向かってまた緩やかに登り返していく。このあたりは自然林も多く気持ちの良い道だ。ヤマアジサイやヤマボウシの花が見られた。醍醐丸は南側が杉の植林地という展望もあまりないピークで、ここから先は東京都と神奈川県の境界尾根を進む事になる。(新)醍醐峠まで標高を下げてから一旦登り返し、更に和田峠まで下るとそこには数人のハイカーがいた。ここまでは対向の単独男性一人に出会っただけなので、ようやく人気エリアに入ってきた感じだ。

峠から八王子に下る陣馬街道はこの日はロープで閉鎖してあったので、車で来た人は相模原市側からのようだ。陣馬山へは茶店の横から階段を登るのだが、これが長い階段で終わって尾根道になったと思ったら再び階段というやたらに階段の多い道が山頂まで続く。たどり着いた陣馬山山頂には10名程の登山者がいて、数軒ある茶店の内1軒は開いているようだったが、肝心の富士山はやっぱり見られなかった。眺めもないので居合わせた人に写真をお願いした後はベンチで昼食をとったら直ぐに出発する。

陣馬山−高尾山間は人気コースなので行き交う人の姿も増えてくる。下り基調の坦々とした道を進んで、陣馬山から50分程で茶店のある明王峠に到着した。この峠も富士山の眺めの良い場所ながら今日は駄目だ。カミさんにこれから下る旨のlineを入れてから出発する。

石投げ地蔵を過ぎ、栃谷林道を横切って下っていくと、柱とプラスチックトタン屋根だけの大平小屋に着く。ここからは孫山経由で行くのが一般的で一旦そちらに進みかけたが、より距離の短そうな貝沢コースに変更して下った。このコースは林道終点からは平坦な林道を行くことになるので時間的には短いという読みだ。

ただ、高速道路を潜った所で左手の階段を上がり集落内の道に出るべき所をそのまま国道20号沿いに進んでしまい、相模湖駅までが少し遠回りになってしまった。その代わり国道沿いのコンビニに寄れたのは良かった。駅近くにはコンビニはないからだ。計画よりかなり早い時間に駅に着いたら直ぐに高尾行きの列車があり、その後の乗り継ぎも具合良くいってこの日は早々に自宅に戻ることができた。

今回は眺めは無かったものの雨に降られることもなく、長距離の割には標高差のない低山だっ為快適に歩くことができた。3千mクラスの山でもこんなに快調に歩ければ良いのだがと夢とも願望ともつかぬ思いを持ってこの一日を振り返っていた。


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