高妻山は過去に2度計画して、内一回は途中の五地蔵から引き返しているので、登頂したのは一度のみだ。登山口までのアプローチが容易な割に往復の行程の長さから百名山の中でも人気のない山というイメージをずっと持っていた。 ところが今回出かけてみると、戸隠牧場前の無料駐車場はまだ5時前という時刻にもかかわらず満車に近い状態で、出発準備をしている人の姿も多かった。人気のない山というのは私の誤解だったようだ。 高妻山へのルートは牧場の中から始まる。舗装された道路を進んでいくとやがて弥勒尾根コースとの分岐に着く。行きは大洞沢沿いのコースから帰りは弥勒尾根コースでというのが私の計画で、そんなような周遊コースを取る人も多そうだ。ちなみに私が以前に登った頃には弥勒尾根コースというのはまだなくて、今回そのコースを初めて通ることになる。 分岐の所にいたツアーの一行が気持ちよく道を譲ってくれたので前に出て、しばらく林の中を進んでから沢を渡る。沢沿いのコースの為、この後何度も沢を渡り返す。花はヤマオダマキやミズホウズキ?の黄色い花が目立った。鎖の下がった滑滝を過ぎると巨大な一枚岩の帯岩が現れ、登山道がその岩の上部をトラバースしている。 今は鎖が設置されているが、私が以前に登った頃は鎖はまだなかった。それでもその頃はそんなものだと皆平気でそこを登り下りしていた。帯岩を過ぎるとコース中唯一の水場である氷清水があるので、私もペットボトルに水を注ぎ足しておいた。氷清水から一登りして稜線に登りつめた所に一不動の避難小屋がありツアー客達が小屋の前にたむろしていた。この日はツアー客によく出会う。 稜線を左手に進めば戸隠山で、高妻山へは右手に向かう。一不動の後は二釈迦、三文殊、四普賢、五地蔵と石の祠のある小ピークを越えて行き、六弥勒の弥勒尾根コース入口まで来た所で2度目の休憩をとった。 一週間前の6月22日に登った人の報告にキバナノアツモリソウの写真が載っていて、実はそれを見るのが今回の大きな目的だったのだが、三文殊から五地蔵の間にあったとされるそれを残念ながら私は見つけることができなかった。六弥勒に居合わせた人にも聞いてみたのだが、皆、気が付かなかったという返事だった。ちなみにこの先の八観音から九薬師の間にシラネアオイもあったはずなのだが、それも見つけられなかった。残念ながらお目当ての花はもう終わてしまったようだ。 さて、ここまでは比較的良いペースで来たのだが、この先アップダウンを繰り返して九勢至まで至ると、そこから山頂まで300mの急登が待っている。しかも上に行くほど急になるという性悪な道だ。この登りで完全に疲労困憊してしまった。足に力が入らず、九勢至から山頂まで1時間以内で十分と考えていたのが、実際には1時間10分かかった。しかも、頂上で休憩中にも足の力は戻らず、下りでも踏ん張りの効かない状態でゆっくりとしか歩けなかったので、下山に予想外の時間がかかった。 そんな体たらくな状態ではあったが、山頂からの眺めには感激した。好天気のお陰で白馬三山を始めとした後立山の山並みが眼前に広がり、残雪をまとったその姿に一時疲れを忘れた。この感激を伝えようとスマホを開けてみると、予想外に電波が通じている。実は来る前に衛星通信の契約をしていて、山頂からそれをしてみたかったのだが圏外と思っていたのが実は圏内で通常のメールで連絡が出来てしまった。衛星通信というのやってみたかっただけに残念だった。 下山は先に書いた通り極スローペースでしか歩けず、六弥勒から先の初めて通るルートもじっくり味わう余裕もなく、ひたすら怪我をしないようにとそれだけを考えながら下り、牧場に出た時は心底ほっとした。結局、計画した帰着時間より早く下りられはしたものの、体力不足は自分が思っていた以上で、こんな調子で次の山に行かれるだろうかと、不安を残した今回の山だった。 ![]() ![]() |
高妻山 / ふくさんの活動データ | YAMAP / ヤマップ