梁谷山には平成11年11月に山の仲間達と登っている。ちょうど紅葉の時期で終始自然林の中を歩くこの山の印象がとても良かったので、今回はカミさんと二人で改めて登ってみることにした。 鉄道の最寄り駅は飛騨金山駅になるが、その先はタクシーしか方法がないため自宅からマイカーでの往復にした。途中、免震装置(オイルダンバー)の不正使用で世間を騒がせているKYBグループの会社前を通ったのが記憶に残るドライブだったが、家から登山口までは遠く到着までにほぼ3時間を要した。 林道の終点が駐車スペースになっているので、そこに車を止めたのだが平日のこととて他に車は見当たらず、ひょっとしたら山は我々だけの貸し切りかもしれない。 登り始めは沢沿いのコースで、直ぐに左手に尾根コースを分けるが、そこは下りに予定しているのでそのまま谷を詰める。期待していた紅葉は木々の葉がまだ青々としていて、見頃は11月を待たないと無理なようだ。谷筋を緩やかに登っていくが登山道にしてはどうも踏み跡が薄い。右俣にコースを取るところをあやまって左俣に入ってしまっていたのだ。斜面をトラバースして本来の道に戻ると、踏み跡は山の斜面を巻くようになり、やがて明瞭な尾根道に変わっていった。 尾根筋にはブナが多くいつの台風でやられたのかブナの大木が登山道に倒れているのでそこは四つん這いで潜らなければならなかったが、それ以外は気持ちよく歩くことができた。 山頂直前に南尾根コースの分岐があるが、それは下りに使うコースなので、その分岐を左手に見て直進すれば1,213mの梁谷山山頂である。コース自体が短いので登山口から1時間半程度で着いてしまった。 正面に御岳を望む山頂は広くはないが平坦で、ススキの穂が風で揺れてなんとものどかな風情の場所だ。これで御岳を見よとばかりの双眼鏡も設置されているが、生憎今日の御岳は上部が雲に隠れてしまっているのが残念。 我々の他には誰もいない山頂で、昼時間にはまだ早いのだが後は下るだけとなれば、やはりここで腹に詰めねばならぬ。昼食と言っても車で来るとアルコールを飲むこともないので、時間も短くて30分ほどで食べ終わり、相変わらず雲から顔を出さない御岳に別れを告げた。 下りは予定通り先ほどの分岐から南尾根コースをとる。頂上直下をぐるっと半周してから南尾根に入ると、こちらもしっかりした道が続いていて歩きやすい。道の両側にブナが立ち並び、紅葉が進んでいればなお良かったのにと思いながら下る。途中に山の神である「大山祇神(おおやまつみ)」を祭った所がある。石碑の前にワンカップが供えてあるのを見ると、信仰心を持ってこの山に登っている人がいるようだ。そこから30分も下れば行きに通った分岐に出て、これで周遊コースは完了する。 駐車場に戻れば我々の車だけがぽつんと待っていて、やはり他にこの山に登った人はいなかったようだ。 20年前に山の仲間たちと賑やかに登った山は、今日は我々夫婦を迎えただけでひっそりとしていた。この20年間で山の様子は変わっていなかったが、あのとき一緒に登った8人の内、2人は既に他界している。 家に帰ってから古い記録と写真を見返して、在りし日の思い出に浸った山だった。 トップページへ戻る
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